GNOME 2.24はマイナー・アップデート

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 GNOME 2.24が、先週リリースされた。結論を先に言えば、GNOMEの利用者にはそれなりのメリットはあるが、ほかのデスクトップ環境を使っている人が乗り換えたくなるほどの魅力はない。

 GNOME 2.24には、今後リリースされるLinuxディストリビューションをインストールした際に、デフォルト・デスクトップとしてお目にかかることになるだろう。それまで待てないという人は自分でダウンロードしてコンパイルすることになる。あるいは、Garnomeを使って入手することもできる。リリース・ノートにはライブCDもあるように書かれているが、執筆時点では、GNOMEのBitTorrentページには見あたらず、検索しても発見できなかった。

 そこで、Ubuntu 8.10のデイリーCDイメージをインストールすることにした。これにはGNOME 2.24の安定版がデフォルトで同梱されているからだ。試用には、比較的遅い2.6GHzのAMD Athlon X2 5200+プロセッサー、Nvidia GeForce 8600GTビデオ・カード、2GBのDDR2 RAMが搭載されているマシンを使った。ライブCDを使ってシステムをインストールしたあと、外観を変更してGNOMEの出荷状態に近づけた。具体的には、テーマをClearlooksに変更し、WebブラウザーのEpiphanyやインスタント・メッセージング・クライアントのEmpathyなど、デフォルトではUbuntuに含まれていないGNOMEアプリケーションをインストールした。

 今回のリリースに当たり、GNOMEはデスクトップを飾るためのちょっとした工夫をしている。2.23の開発サイクル中に、2.24に同梱するデスクトップの壁紙を募集しコンテストを実施していたのだ。しかし、Ubuntuの最新CDイメージには、なぜかコンテストで選ばれた壁紙は含まれていない。そこで、自分で探し出してダウンロードしてみたところ素晴らしいものが多く、コミュニティーを巻き込めばよりよいものが得られることを証明するものだった。

新機能と改良点

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GNOME 2.24

 今回のリリースでも、新たに盛り込まれた機能はいろいろある。たとえば、Empathy。Telepathyフレームワークを利用したインスタント・メッセージング・クライアントで、AIM、MSN、ICQなど、よく使われているネットワークに接続することができ、オーディオ・ビデオ会議のためのXMPP/SIPなど大きな機能も含まれている。しかし、Pidginを使っている筆者をして乗り換えたいと思わせるほどの機能はない。

 ファイル・ブラウザーNautilusには、開発者が気に入るかもしれない機能、タブ・ブラウジング機能と「コンパクト」ビュー・モードが新たに搭載された。新しいタブは、Firefoxと同じように、Ctrl-Tを押すか、フォルダーを右クリックしopen in new tabを選ぶと開く。コンパクト・ビュー・モードにするときはCtrl-3を押す。このモードでは、アイコンは下ではなく右側にテキスト付きで表示される。また、ファイルをコピーする際、ファイル名にコピー先のファイル・システム(FATなど)では使えない文字が含まれていると自動的に下線に変更される。あらかじめ変更しておく必要はない。

 GNOMEデスクバーには、電卓、Google検索、Twitterなどのプラグインが加わった。デスクバー・アイコンを右クリックしてPreferencesを選択し、プラグインの一覧を表示するだけで起動することができる。

 このほか、XRandR 1.2 Xorg仕様(第2モニターの追加が容易になる)やサウンド・テーマがサポートされ、Movie Playerにはデジタル・テレビ機能も搭載された。さらに、モバイル向けに、Ubuntu Mobileなどのプロジェクトでバックボーンとして採用されているGNOMEモバイル開発プラットフォームが導入されている。

 リリース・ノートには書かれていないが、NautilusのPlacesでは、取り外し可能な媒体にイジェクト・アイコンが追加されている(ただし、これがGNOMEの機能なのかUbuntuの工夫なのかは定かではない)。

 パフォーマンスは従来のバージョンとほぼ同じで、GNOME 2.22と比べ速くも遅くも感じられなかった。もちろん、テーマにも依存し、エンジンによって遅速がある。試用に使ったマシンではClearlooksが最速だった。

 壁紙にコミュニティーの作品を加えたのは素晴らしいが、デフォルト・テーマのClearlooksは、今回はほとんど変わっていなかった。だが、次期GNOME 2.26リリースでは、暗色のウィジェット・テーマが新たに加わることになっているので、楽しみだ。

 GNOME 2.24は安定リリースである。少なくとも、試用中に遭遇した問題はない。しかし、今回のリリースで追加された機能は悪くはないが、驚くほどのものではなかった。新機能は便利だしデスクトップ全般の品質は向上したが、いずれもほかのデスクトップ環境との関係を一変させるようなものではない。要するに、すでにGNOMEを使っている人にはメリットがあるだろうが、それ以外の人が欲しがるようなものはない、ということである。

Jeremy LaCroix ITの達人。余暇に執筆活動をしている。

Linux.com 原文(2008年9月29日)