OpenLogic、オープンソースのサポート提携を積極展開

 エンタープライズ向けオープンソースソフトウェアの提供元であるOpenLogic Inc.が、オープンソースソフトウェアの開発者に同社のパートナーシッププログラムへの参加を呼び掛けている。OpenLogicはこのプログラムによって他ベンダ製品のサポートサービスをまとめて提供することになる。

 すでに独自の認定ライブラリとして400種類のオープンソースパッケージをサポートしているOpenLogicは7月8日、ベンダ向けの新たなパートナーシッププログラムを発表した。このパートナーシッププログラムは、OpenLogicの顧客に対する商用ソフトウェアのサポートから得られた収益を他の商用オープンソースソフトウェアベンダに分配するような仕組みになっている。収益分配の試みであるこのプログラムには、PostgreSQLベースのリレーショナルデータベースを販売するEnterpriseDBや、オープンソースのBIプラットフォーム開発元のJasperSoftなどがすでに最初のパートナーとして参加している。

 OpenLogicでマーケティング担当上級副社長を務めるKim Weins氏は「このプログラムは商用オープンソース製品を対象としていて、OpenLogicの既存のケースバイケースのサポートを拡張するものだ」と述べた。

 Weins氏によればOpenLogicはこれまでもサポートを提供してきたが、より多くのソフトウェア問題の解決に役立てるために同社のリソースのプールを拡張したいと考えているのだという。「(われわれのライブラリの)400種類のパッケージのうち、商用の後ろ楯があるものは約20種類のみだ。商用サービスが行われている場合には、そのオープンソースベンダと協力したいと考えている」。

 このパートナーシッププログラムがうまく行けばOpenLogicは、同社のライブラリ中の全パッケージについてのサポートを包括的に提供することが可能になるのだという。つまり、現時点ではパッケージの多くは各プロジェクトのコミュニティフォーラム経由でのみサポートされているが、パートナーシップが増加すればいずれは、ライブラリ中のすべてのパッケージにOpenLogicによるサポートが存在することになる。

 この新たなパートナーシッププログラムの規定の下では、商用パートナーベンダがそれぞれのプロジェクトのための補佐的なサポートを提供し、OpenLogicが各パートナーベンダのエンタープライズ向けサポートサービスを再販することになる。そして各パートナーベンダには、OpenLogicが登録顧客から回収した登録料が分配される。OpenLogicでは、同社のライブラリをダウンロードして使用するユーザの中からさらに多くの商用顧客が生まれることを見込んでいて、収益の収支はそれによって釣り合わせることができるだろうと期待している。

仕組み

 このパートナーシッププログラムでは、OpenLogicの顧客はサポート料金についてインスタンス単位での支払いは行わない。またサポートに関してパートナーベンダからの支払いもない。そうではなくパートナーベンダの顧客に、必要なサポートを受けるための単一の電話番号が提供されるということだ。パートナーベンダの顧客は、オープンソースソフトウェアのライブラリにアクセスするためにOpenLogicに対して登録料を支払って、サポート契約に含めるべき必要なパッケージを選ぶことになる。

 また顧客は、登録したサポートの対象となる期間や時間帯についても選択する。つまり例えば営業時間内のサポートや、一週間のうちの指定した日数の24時間サポートなどの指定が可能なのだという。

 Weins氏によれば「つまるところ、顧客は一品ずつ選んで注文する中華料理のメニュー方式で支払うことになる」とのことだ。

波風を静める

 Weins氏によればオープンソースコミュニティの中には、メジャーなオープンソースプロジェクトに対してOpenLogicが代替的なサポートを提供することについて懐疑的な見方もあるという。しかしOpenLogicではパートナープログラムによって、否定的な見方が減ることを期待している。

 パートナーベンダはOpenLogicの顧客に対して、それぞれのプロジェクトの補佐的なサポートを提供できるようになる。それに加えて、パートナーベンダのエンタープライズ向けサービスをOpenLogicが再販するので、パートナーベンダの販売経路の拡大につながるという。

 OpenLogicでは今回のサポートパートナーシップがオープンソースコミュニティや商用ベンダの気分を害する恐れがあることを認識している。しかし、そのような感情が生まれる恐れが最小限になるようにパートナーシップを拡大する試みが現在進行中だという。

 Weins氏は「われわれが望んでいるのは協力するということなのだが、競争だというように受け取られる恐れもあるので、現在、契約内容を明確に策定するためにベンダと話し合っている」とした。

ユーザにとっての利点

 Weins氏によれば、今回のサポートサービスから最大のメリットが得られるのは、最終的にはユーザだとのことだ。現状では、様々な提供元からの何十から何百種類にも及ぶオープンソース製品を使用しているユーザもいるのだという。「そのような製品のほとんどには、商用サポートは存在しない。今回発表したサポートサービスを利用すれば、ユーザはサポートを一本化することができる。同時に、各ベンダにも新たな収入源が生まれることになる」。

 Weins氏によれば、オープンソースソフトウェアのサポートは数多くの様々なニーズに分類できるという。多くのオープンソースユーザは、複数のパッケージをインストールしていて、それらには商用のものあれば、コミュニティによってのみサポートされているものもある。またコミュニティベースのサポートのレベルも、パッケージによって様々だ。さらに言えば、独自に作成されたアプリケーションも混ざった環境などでサポートの問題が複雑になっていることもある。

 Weins氏は次のように述べた。「顧客は自らが体験している問題の重要性は認識していたとしても、その修正方法まで知っているわけではない。OpenLogicは、顧客が使用しているすべてのアプリケーションのあらゆる面を取り扱うことのできる包括的なベンダという存在になろうとしている」。

Linux.com 原文