中国でオープンソースのソーシャルネットワーキングアプリケーションが熱い

 人気のソーシャルネットワーキングサイトFacebookが、先日、中国語版を発表した。以前からXiaoneiやHaineiなどの類似サイトが頑張っている中国市場だが、この4月からは、PHPとMySQLをベースにしたオープンソースのソーシャルネットワークサービスUCenter Homeも進出し、オープンなソーシャルネットワーキングを推し進めている。

 中国で成功しているリーダー追随型のWebサイトには、革新的なアイデアには欠けながら、巧みなローカライズで勝負しているものが多い(たとえば、Baiduは中国版Googleである)。UCenter Homeも同様で、そのソーシャルネットワークの枠組みはFacebookのコピーだが、国内外の競争相手以上に地元中国人に受け入れられやすいスタイルを市場に持ち込んだ。

 UCenter Homeの開発元であるComsenz社は、ここ数年、中国のWebサイトソリューション市場を支配してきた。同社の最初の成功例であるフォーラムソフトウェアDiscuz!も、グローバルなインターネット市場から得たアイデアをローカライズしたものだった。中国人は、世界中のどの国より、インターネット上でのコミュニケーションにフォーラムシステムを好む。Discuz!は効率がよく、安定している。中国以外なら「けばけばしい」とか「使うのが苦痛」とまで言われそうな派手な機能を満載している。だが、成功は紛れもない事実であり、Discuz!は中国のフリーフォーラム市場の過半を手中にしている。

 だが、市場の拡大がつづく一方で、しだいに問題も発生しており、中国のフォーラムソフトウェア開発者の間には拡大の陰りを憂う声が出てきた。たとえば、発足直後のフォーラムには、当該トピックについて豊富な知識を持つ献身的ユーザがいて、その貴重な情報に惹かれて訪問者が増えていった。だが、訪問者の数が多くなればなるほど、新参ユーザの持ち込む無関係情報も増える。フォーラムが「雑音」だらけになると、ユーザが価値ある情報を見つけることは困難になる。こうして老舗のフォーラムは混乱の場となり、古参ユーザはそこを離れて、別の場所に新しいフォーラムを作ろうとする。

 この問題を避け、ユーザの離脱を防ぐにはどうするか。中国のフォーラムシステム開発者は、ユーザとフォーラムの結びつきをより密にすることで対処しようとした。ソーシャルネットワーキングなら、個人的なつながりを強くし、フォーラムシステムの「粘着度」を高められる(逆に言えば、中国ではその文化的特異性から、フォーラムなしでFacebookのようなWebサイトの人気を維持できるかどうか疑わしい、と多くの専門家は見ている)。

 UCenter Homeはオープンソースソフトウェアであり、Comsenz社の他のフリーソフトウェアとシームレスに統合できる。オープンソースだから、個々の開発者がソースコードの設計を自由にいじり、独自のFacebook様サイトを簡単に作れる。既存のWebサイトに大きな変更を加える必要はない。

 中国のインターネット市場はComsenz社の狙いどおりに反応し、UCenter Homeに飛びついた。リリースからわずか1月で、中国国内の4,000のWebサイトがUCenter Homeを取り入れ、従来のフォーラムシステムと組み合わせて使っている。新規に登録したユーザは、同社によると200万人にのぼると言う。

 Comsenz社から提供されているのは、いまのところ、繁体中国語版と簡体中国語版だけである。UCenter Homeは、UCenter(Comsenz社からリリースされているすべてのフリー/オープンソースプロジェクトのコントロールパネル)のもとで動作する。手順どおり進めていけばインストールも難しくない。

 いくらよいアイデアでも、特定市場のニーズを満たさなければ成功とは言えない。ソーシャルネットワーキングではFacebook的なアプローチが人気だが、Comsenz社のUCenter Homeはそれを改善し、中国市場の潜在的需要を掘り起こした。オープンソースソフトウェアで新しい道を切り開いたと言える。

Chen Nan Yangは中国のフリーランスジャーナリスト。中国の政府機関でITディレクタを務めたこともある。

Linux.com 原文