Geditプラグインあれこれ

 ディストリビューションをあれこれ渡り歩いていると、GNOMEのテキストエディタGeditがどのシステムでも同じとはかぎらないことに気づく。たとえば、DebianのGeditは比較的単純なテキストエディタだが、Ubuntuに行くと、Debianユーザにとっては「目から鱗」ものの多機能エディタに変身する。この違いは、個々のディストリビューションがデフォルトでGeditに詰め込み、有効化しているプラグインの数々に由来する。プラグイン1つ1つによる変更はわずかでも、それを10個以上も取り入れると、コードを書くにせよプレーンテキストを書くにせよ、これがほんとうにGeditかと思うほど大きく変化する。

 Geditプラグインのなかには、Geditに標準で組み込まれている(ただしデフォルトで有効化されているとはかぎらない)ものもあるし、Gedit-Pluginsパッケージの形でディストリビューションに付随するものもある。さらに、非公式のプラグインとして提供されていて、個々に自ホームディレクトリの~/.gnome2/gedit/pluginsディレクトリに追加しなければならないものもある。

 どの方法で入手したGeditプラグインであれ、使用するためには、まず編集 → 設定 → プラグインでそれを有効化し、Geditを再起動しなければならない。編集ウィンドウを変化させる種類のプラグインはすぐに目に見えるが、探さなければ見つからない種類のプラグインもある。編集メニューとツールメニューが最も見つけやすい場所だが、表示メニューのオプションを1つ1つ探していかないと見つからないものもある。

インタフェースの変更と挿入リスト

 最も目につきやすいのは、インタフェース強化のプラグインだろう。「Pythonコンソール」はGeditをPython開発環境に変身させ、「埋め込み式の端末」はGNOMEターミナルのインスタンスを――すべての変更ともども――Geditに追加する。どちらのプラグインもボトムペインにタブを追加するので、すぐにそれとわかる。

 サイドペインにタブを追加するプラグインもある。「ファイル参照ペイン」は、多少窮屈ながら十分に使い物になるディレクトリツリーをサイドペインに追加し、「文字マップ」は言語選択と特殊文字テーブルをサイドペインに詰め込む(テーブルは1行に5文字表示で、スクロールが必要になることがある)。「タグの一覧」は、現ドキュメントに含まれているマークアップタグ(HTMLやXHTMLからLaTeXやXULまで)をサイドペインに表示するプラグインである。サイドバーのプレビューペインもトグル切り替えができて、正しいタグを選んだかどうかをチェックできるのが便利な点である。

 「文字マップ」と「タグの一覧」以外にも、自動挿入に役立つプラグインがいくつかある。編集メニューにある「ユーザ名の挿入」では現アカウントの名前をカーソル位置に挿入できるし、「日付/時刻の挿入」では日時情報を挿入できる。表示形式には数十通りある標準形式の1つを選んでもよいし、自分で定めたカスタム形式でもよい。もっと手の込んだことをしたければ、ツール → 括弧の補完を選んで、挿入する定型句を作成したり、スニペット挿入用の――つまり、全体をタイプしなくても挿入できる――キーボードショートカットを追加したりできる。「スニペットの管理」では数十のスニペットがインストールされる。そのほとんどはコードを書く人のためのものだが、Geditをほかの目的(プレーンテキストを書くなど)に使う人は、独自のスニペットを追加できる。

開発者、ライタ、サードパーティ

 当然のことながら、開発者向けのプラグインは多い。「括弧の補完」「コードのコメント」「行の結合・分割」「行のインデント」は、どれも編集メニューのオプションとして提供される。開発者なら、ツールメニューの「外部ツール」もカスタマイズしたいところだ。このプラグインは、「ビルド」「末尾の空白を削除する」「コマンドの実行」などを含むいくつかのプリセット機能をインストールするが、これに独自のカスタマイズを加えることで、コマンドだけでなく、コマンド実行のためのショートカットキーや入出力の表示場所(たとえば、Geditボトムペインのシェル出力タブ)を指定することもできる。

 プレーンテキストやHTMLテキストを作成するユーザにも、開発者向けに劣らないGeditプラグインが用意されている。たとえば、「スペル・チェッカ」はほとんどのディストリビューションでデフォルトで有効化されていて、自動チェック機能を持っている。長さが気になる人のためには、「ドキュメントの統計情報」プラグインがあり、ドキュメントの行数、ワード数、文字数、バイト数を教えてくれる。テキストの一部を指定して「大/小文字の変更」ができるし、行や列をソートしながら、重複を除いていくこともできる。

 公式プラグインの枠を取り払えば、選択の幅はいっそう広がる。サードパーティのオプションには、公式プラグイン以上にGeditをワードプロセッサに近づけるものが多い。たとえば、HTMLのクリーンアップのためには「HTML Tidy」プラグインがあるし、GeditをLaTeXエディタに変えるプラグインもある。単語の補完、テンプレートの使用、ドキュメント比較のための画面分割など、便利なサードパーティプラグインがいろいろとある。

結論

 Geditは、FirefoxやOpenOffice.orgにならって自己を広くプラグインに開放し、そこから大きな恩恵を受けている。ただ、この方式には欠点もあって、それはプラグインのアクセス方法に一貫性が欠けることである。たとえば、「タグの一覧」になぜサイドペインを使うのか、「括弧の補完」をなぜツールメニューに置いているのか、これといった理由は見当たらない。

 だが、その程度のインタフェースの恣意性に目をつぶるなら、Geditプラグインは時間をかけて探し、使用の是非を検討してみる価値が十分にある。かねて欲しいと思っていた機能がいくつも見つかるかもしれず、そうなればGeditに対する見方も使い方もがらりと一変する。

Linux.comでは、毎週月曜日に、めぼしい拡張機能、プラグイン、アドオンを紹介しています。これはと思うものがあれば、それでどう助かっているか、どう使えば一番便利か、などを1,000語未満の記事*英語)にして送ってください。採用した記事には$100をお支払いします(同じトピックの記事が最近発表されていないかどうか、またすでに発表予定に含まれていないかどうか、事前にお問い合わせ(英語)ください)。

Bruce Byfieldはコンピュータジャーナリスト。Linux.comに定期的に寄稿している。

Linux.com 原文