Linspire、CNRを通じたMintとUbuntuとの連携を強化
CNRは、デスクトップ・ソフトウェアのダウンロードとインストールあるいは更新をWindowsレベルの簡単操作で実現するための仕組み。Linuxの初心者でも、CNRクライアントを使ってCNRサイトにあるデスクトップLinuxプログラムを容易にインストール/削除/更新することができる。オープンソース・ソフトウェアだけでなく、Parallels Workstation(仮想化ソフトウェア)やTransgamingのCedega(Windowsゲーム用の環境。多くのWindowsゲームをLinuxで楽しむことができる)などにも対応。こうしたプログラムの中には別途費用がかかるものもあるが、CNRを介して支払うこともできる。
同社CEOのLarry Kettler氏によると、同社では「近い将来、Debian、Fedora、openSUSE向けCNRクライアントのリリース」を計画しているという。しかし、2007年4月に自社のLinuxディストリビューション(現在、Linspire 6.0、Freespire 2.0)をUbuntuベース(翻訳記事)に変更したこともあり、CNRソフトウェアの完成とUbuntuサポートの改善を優先する。
Kettlerによると、CNRとMintにはUbuntuベースという共通点があり「相性がいい」そうだ。一方、Mintのリード開発者Clement Lefebvre氏も、Mintにとっての利点は「CNR.comで商用アプリケーションが販売されると、その売り上げの一定割合がLinspireからLinux Mintに寄付される点だ」と言いつつも、次のように述べLinspireを評価している。
「Linspireは我々に断りなくLinux Mintをサポートすることもできたはずだ(が、我々に接触してきた)。それにこれはいいニュースだ。我々の利用者にとっては選択の幅が広がるし、Linuxが使いやすくなる。しかも、LinspireはMintをサポートしたというだけでなく、真っ先に我々のところに来て、我々の特殊性を理解しようとし、Linspireのポータル・サイトで得られた収入を分かち合おうと提案し、そして今は、我々のクライアント・ソフトウェアをCNR対応にするのを支援してくれている」
Lefebvre氏の説明によると、Linspire側は「CNR.comとCNRクライアントをLinux Mint 4.0とLinux Mint 5向けに変更」し、Mint側は「クライアントをMintのリポジトリーに入れる」作業をしているという。「また、CNRプロトコルについての解説やLinspireの独自APIの文書化にも取り組んでもらっている。.mint、.deb、APTにはすでに対応している我々のmintInstallクライアントからCNR.comのサービスを直接利用できるようにしたいからだ」
もう一つの提携先CanonicalのマーケティングマネージャGerry Carr氏はLinspireとの提携を「従来通り」と説明している。「Linspireは以前からCNRを通じてUbuntuを支援しており、FreespireのベースにUbuntuを採用してもいる。Ubuntuの環境の一要素としてCNRは重要であり、多くの人々がこのサービスを通じてUbuntu向けソフトウェアを入手している」
とは言うものの、Ubuntuは、Mintとは異なり、CNRを巡って直接Linspireと協力してはいない。「この支援は共同作業という趣旨のものではないし、CNRを介してサポートされているほかのディストリビューションを超える特別な権利を持つというものでもない」
Linspireにとって、こうしたことのすべては同社がLinuxディストリビューターからLinuxソフトウェア・サポート企業に移行しつつあることを示している。Kettler氏は、昨年のお家騒動を経て運営は以前より良くなったが、これはサポートするLinuxディストリビューションが増えつつあるCNRのお陰だと述べた。
Steven J. Vaughan-Nichols 技術とそのビジネスの分野を守備範囲とするライター。PC向けオペレーティング・システムならCP/M-80と言われ、自分のコンピューターで2BSD(Second Berkeley Software Distribution)を使うのが最先端だった時代からの古参。