富士通、NGN向けサービス品質管理ツールを発表――音声や映像の体感品質の評価と大規模ネットワークでの運用管理が実現

 富士通は10月15日、次世代ネットワーク(NGN)におけるサービスの品質管理および運用管理を実現するネットワーク・サービス管理ツール「Proactnes II」を発表した。

 発表されたのは、ネットワーク品質管理ツール「Proactnes II QM」(以下QM)とネットワーク運用管理ツール「Proactnes II NM」(同NM)の2製品。両製品の特徴として富士通は、ユーザー視点でのネットワーク・サービスの品質向上が図れるようになったこと、大規模なIPネットワークでの運用管理が可能になったことなどを挙げ、「オールIP」となるNGNで提供されるサービスを支援するものになると説明した。

fujitsu_ngn.jpg
ネットワーク・サービス管理ツール「Proactnes II」の構成イメージ

 QMは、ネットワーク・サービスとして提供される音声や映像の「体感品質(QoE:Quality of Experience)」を定量化して評価する。これにより、従来では不可能だった音の聞こえやすさ、映像の見やすさといった、ユーザーが体感するサービスの品質向上を「見える化」することができるという。

 例えば、エコー(通話音声が2重に聞こえる現象)は、送話音と受話音の音声スペクトルを比較し、類似度が大きい場合にはエコーが含まれていると判断される。また、映像は、ノイズが目立ちやすい映像かどうか(映像のコントラストが大きいかどうか)を比較/判定する独自の指標(DSCQS:2重刺激連続品質尺度)を基に体感品質が評価される。

 QMでは、ほかにもデータ通信の高精度測定や品質障害の予兆検知をサポートする機能が提供される。

 一方、NMは、数十万規模の通信機器で構成される大規模なIPネットワークの運用管理を支援する。また、コア・ネットワークからアクセス・ネットワークに至るあらゆる部分で障害監視が行えるほか、MPLS/VPLS、VLANなどにも対応(制御)する。

 NMではまた、ネットワークの物理構成および論理構成に加えて、「サービス構成」も管理することができる。具体的には、特定のVoIP交換プロトコルが流れるルートや音声が流れるルートなどを、サービスへの影響を踏まえたうえで管理することが可能となっている。

fujitsu_mr.nomura.jpg
富士通ネットワーク管理ソリューション事業部 事業部長 野村豊夫氏

 さらに、QMと連携させることで、ネットワーク・サービスの品質、運用状況、品質劣化の影響などをサービス・地域ごとに把握できるようになる。こうした設定や制御を、GUIによる容易な操作で行えるのも特徴の1つとなっている。

 富士通ネットワーク管理ソリューション事業部事業部長、野村豊夫氏は、発表に際し、「オールIPネットワークでは、サービス要件に応じた品質管理が重要となり、障害発生時にはサービスへの影響を迅速に把握して対策を取ることが求められる。これらは、現状では不可能」と指摘したうえで、Proactnes IIならば、それらが可能になると強調した。

 価格は、QMが129万1,500円から、NMが315万円から。いずれも2008年度第1四半期から販売が開始される予定となっている。

(高山哲司/Computerworld)

富士通
http://jp.fujitsu.com/

提供:Computerworld.jp