IBMの「Symphony」、リリース1週間で10万ダウンロードを達成――第2ベータ版は6~8週間後、一般リリースは来年初めに
IBMのコラボレーション/Lotusソフトウェア担当ジェネラル・マネジャー、マイク・ロディン氏は、IDG News Serviceの取材に対し、「正直言って、これほど短期間でユーザーに受け入れられたのは驚きだ」と語った。IBMは予想外のSymphony人気に対応するため、リリースの2日後に同スイート用のダウンロード・サーバを3倍に増強したという。
Symphonyの第1ベータ版は9月18日にリリースされたが、当初、ダウンロードするにはIBM IDとパスワードを登録して本人識別情報を入力する必要があった。しかし、こうした複雑なプロセスに対してユーザーから不満の声が上がったことから、 IBMは、登録プロセスを変更し、有効な電子メール・アドレスを登録するだけでだれでも簡単にダウンロードできるようにした。
「(登録プロセスの変更により)、Symphonyをダウンロードしているのが個人ユーザーなのか企業なのかを判別するのが難しくなったが、できるだけ多くのユーザーに使ってもらうことを優先した」(ロディン氏)
Symphonyは、「OpenOffice.org」と「Eclipse」フレームワークをベースにしており、個人ユーザーや企業にMicrosoft Officeの代替スイートを提供するだけでなく、国際標準化機構(ISO)が承認したXMLベースのドキュメント規格「Open Document for XML(ODF)」の使用を促すことも重要な目標としている。「最終目的はオープン・スタンダードの普及だ」(同氏)
オフィス・アプリケーション市場で90%のシェアを持つ「Microsoft Office 2007」は、ODFをネイティブ・サポートせず、同社独自の「Open XML(OOXML)」フォーマットを採用しているが、このフォーマットは最近行われたISOの標準化投票で否決された(関連記事)。
IBMやSun Microsystems、GoogleをはじめとするODF支持派のベンダーは、同規格の普及を目指してMicrosoftに対抗する姿勢を強めている。各社は、Microsoftが国際標準のODFをサポートしないことが、オフィス・アプリケーション市場でのMicrosoftの独占的な地位を切り崩すチャンスになると見ている。
IBMは、OpenOffice.orgベースにするSymphonyを提供することで、OpenOffice.orgの有料版スイート「StarOffice」を提供するSunなどと手を携えて、Microsoft Officeに対する包囲網を固める構えだ。これまで、OpenOffice.orgベースのスイート製品は、無料版も有料版も含め、Microsoft Officeに対抗するほどの成功は収めていない。
IBMはこれまで、OpenOffice.orgコミュニティへの参加を見送ってきたが、最近になってようやく参加に踏み切った(関連記事)。ロディン氏は、IBMがSymphonyを提供するのは、同コミュニティの無料スイートを軽視しているからではないと説明する。とはいえ、IBMはODFの普及を目指すだけでなく、スイート・ビジネスで成功を収めたいという気持ちがないわけではなさそうだ。
IBMは、Symphonyの第2ベータ版を6~8週間以内にリリースする予定で、一般リリースは来年初めになるという。同社は企業向けの有料サポートを提供する意向だが、あくまでも企業がSymphonyを安心して導入できるようにするためのオプションにすぎないとしている。
(エリザベス・モンタルバノ/IDG News Service ニューヨーク支局)
米国IBM
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提供:Computerworld.jp