ソフトもCPUも搭載しない仮想デスクトップ・クライアントが登場――ウイルス感染の心配がなく、消費電力5ワットで動作
Panoは、銀色の小さな立方体の筐体で、マイクロプロセッサ、メモリ、ソフトウェア・ドライバ、OSなどは搭載せず、ユーザーのキーボードやマウス、ディスプレイなどの周辺機器をUSBで接続して、リモート・サーバ上で稼働するWindows VistaやWindows XPシステムを利用できる。
Panoのアプローチは、各ユーザーのデスクトップ上で実行される演算処理やデータ・ストレージ処理を軽減するという意味で、HP、ワイズテクノロジー、ネオウェアなどのシン・クライアントやクリアキューブ・テクノロジーのPCブレードに近い。
これらのベンダーは、データをリモート・サーバに保存することでITのセキュリティを高めると同時に、管理者も個々のクライアント・マシンではなく、集中化されたサーバ上でソフトウェアをアップデートできるため、PC管理コストを節減できるとしている。
Pano Logicは、自社のアプローチについて、デスクトップ・ハードウェアから基本的なプロセッサやローカル・ストレージ・デバイスさえ取り去って、VMwareの仮想化ソフトウェアとPanoのサーバ・アプリケーションが稼働する仮想化サーバにリモート接続して利用することができ、シン・クライアントのモデルをさらに進歩させたと説明している。
Panoのデバイスは、ソフトウェアを使用しないため、ワームやウイルスに感染する心配がないうえ、プロセッサを搭載しないため消費電力も5ワットにすぎないという。
シンクストラテジーズのマネージング・ディレクターでアナリストのジェフ・カプラン氏は、セキュリティや消費電力の問題に対処できるような製品を求めているユーザーの支持を獲得できるのではないかと見る。特に、銀行や医療機関などの分野で、既存のシン・クライアントPCユーザーの枠を超えて市場を獲得できる可能性があるという。
また同氏は、「仮想化やSaaSベースのサービスを使っている企業の多くは、少ない資源で多くの作業を実行し、顧客に負担をかけることなく機能を強化し、インストールと保守の必要なソフトウェアを増やさないようにしたいと考えており、この分野でも有望だ」と述べている。
Pano Logicは、株式非公開の新興企業だ。Panoの出荷は9月はじめに開始される予定で、サブスクリプション料金は、月額20ドルからとなっている。
(ベン・エームズ/IDG News Service ボストン支局)
米国Pano Logic
http://www.panologic.com/
提供:Computerworld.jp