Google、YouTube用違法動画防止ツールの一端を明らかに――「違法コピーの投稿を事前にブロックする」との報道をやんわり否定
同ツールについては先週、違法コピーの投稿自体をブロックするものだと報道された。しかし今回の説明によると、同ツールにはそのような機能は搭載されないようだ。
Googleで広報を務めるリカルド・レイエス氏によると、同社が開発しているツールは、YouTubeに“投稿された動画”を確認し、著作権者から提供されたデジタル指紋と照合したうえで、違法性があると判断された場合に、「警報の発信」や「コンテンツの削除」を行うものだという。
同ツールの存在は、7月27日に行われた、米国ViacomがGoogleに対して起こした訴訟の審問の席上で明らかになった。
このときAP通信は、「Googleの弁護を務めるバーリット・ベック・ハーマン・パレンチャー&スコットのフィリップ S.ベック弁護士は、違法コピー認識/防止ツールを、『著作権者に無断でアップロードされるコンテンツをチェックし、“投稿を不可能にする”ものだ』と説明した」と報道した。
この報道が配信されてから、Googleには多くのブロガーや業界関係者から、「同ツールは、以前から開発している(違法動画を認識/防止する)システムを変更したものなのか」との問い合わせが寄せられたという。なぜなら、同社 CEOのエリック・シュミット氏は今年4月、「現在開発している著作権付き動画を取り締まるシステムは、海賊版(違法コピー)をフィルタリングして遮断するものではない」と語っていたからだ。
Viacomが裁判所から入手した筆記録には、ベック氏が行ったツールの説明として、以下のように記されていた。
「著作権者は著作権のある動画をGoogleに提供し、『この動画をYouTubeにアップロードしないでもらいたい』と要求できる。Googleは提供された動画のデジタル指紋などを採取し、だれかがYouTubeに著作権のある動画を(著作権者に無断で)アップロードしようとした場合、(Googleの)コンピュータが1分ほどで(YouTubeの)システムにアップロードできない動画であることを認識し、(著作権の)問題が解決されるまで、(アップロードを)差し止められる」
IDG News Serviceがこの発言について説明を求めたところ、レイエス氏は、「違法コピーを認識/防止するツールは、今年4月にわれわれのCEOが説明したシステムと同じものだ。それは、YouTubeに“投稿された動画”をデジタル指紋と照合するという手法であり、その設計に変更はない」と回答した。
レイエス氏によると、同ツールは開発とテストが行われている段階であり、一部の機能はまだ完成していないという。同氏は「ツールの機能に関する質問には、回答できないものもある。テストは始まったばかりだ」とコメントした。
Googleは、著作権のある動画が、著作権者の許可なくYouTubeに投稿されたとしても、著作権者の要請に基づいて削除すれば、デジタル・ミレニアム著作権法(DMCA)に違反しないとの立場をとっている。シュミット氏は今年4月、「(開発中のシステムは)不適切な動画を効果的かつ迅速に削除できるようにするものだ。同システムを利用すれば、DMCAを順守できる」と語っていた。
ただしレイエス氏は、同ツールは法令順守を目的としたものでなく、あくまでも著作権保護のためだと強調している。
(ホアン・カルロス・ペレス/IDG News Service マイアミ支局)
米国Google
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提供:Computerworld.jp