Myth TVユーザにテレビ番組表を約束するEasy TV Data

 DVR(Digital Video Recorder)関連のフリーソフトウェア・プロジェクトの開発者たちが今週、無料のテレビ番組表の獲得に向けての最初の一歩を発表した。無料のテレビ番組表情報を獲得するためのこの取り組みは、Zap2it Labsが無料のXMLベースのサービスを9月1日に終了すると6月に発表して以来、続けられているものだ。

 Zap2itの発表によるとサービス終了の理由は、「ホビイストの個人的/非営利目的での利用」に向けて提供していた同サービスに対する「継続的な乱用」と、「その他のビジネス上の理由」とのことだ。なおZap2itは、商用のテレビ番組表を新聞やプロプライエタリのDVR向けに提供しているTribune Media Services社の製品だ。

 Zap2itの主力製品はテレビ番組表を掲載しているウェブサイトなのだが、フリーソフトウェア・プロジェクトではZap2it Labs XMLの方が重宝されていた。というのもZap2it Labs XMLでは、テレビ番組の録画スケジュール用データベースの中で使用するのに適した、パースの簡単な構造化されたデータが提供されているためだ。しかしMythTVなどのフリーのDVRプロジェクトでは、そのような商用サービスは利用可能になっていない。その代わりとなる、テレビ番組表データの取得のための方法としては、Zap2itなどのテレビ番組表を掲載しているウェブサイト上で表示されているHTMLを解析することでデータを得る「スクリーン・スクレイピング」と呼ばれる方法がある。

 しかしスクリーン・スクレイピングの長期的な信頼性は本来的にあまり高くない。というのもHTMLのマークアップはいつでも変更される可能性があり、開発者がパーサをHTMLの変更に対応させるまでサービスが中断することになるためだ。とは言えパーサが正しく機能している場合であっても、セマンティックなマークアップになっているXMLと比較すると非構造的なHTMLは劣り、例えば表の内容のどの部分が番組の題名/シリーズ名/俳優名なのかなどの判断を人間が行なう必要がある。

かすかな希望の光

 Zap2itの発表は、MythTVユーザの間に大きな議論を呼び起こした。しかしその一方でMythTVプロジェクトの主要開発者は冷静になるよう呼び掛け、Zap2it Labsサービスの代わりに使用することのできる代替物を用意しスムーズな移行を行なうための時間は十分にあるとして、不安がるユーザを安心させた。

 そしてChris Petersen氏は7月11日水曜日、そのような代替物が具体的にどのようなものになるのかについて初めてmythtv-devメーリングリストとmythtv-usersメーリングリストにメッセージを投稿した

 そのメッセージによると、Petersen氏に加えてあと2人のMythTV開発者、XMLTVプロジェクトの代表者、MacProgramGuideプロジェクトの代表者がEasy TV Dataという名前の組織を設立したのだという。なおXMLTVはテレビ番組表データを扱うためのユーティリティで、MythTVやFreevoなど数多くのフリーソフトウェアプロジェクトで使用されている。またMacProgramGuideは、OS X用の検索可能なテレビ番組ツールだ。

 Easy TV Dataが具体的にどのような解決法を提供することになるのかについては現在のところはまだ明らかにされていない。しかしEasy TV Dataのメンバーは、9月1日までにテレビ番組表データの代替物を実現することを改めて約束した簡単なウェブサイトを用意した。またそれと同時にEasy TV Dataは、非営利組織として必要となる事務処理を手助けしてくれる法律や会計関連の専門家の協力を強く呼び掛けている。

 Easy TV Dataの解決法が実際のところどのようなものになるかは秘密にされており、開発者たちは固く口を閉ざしたままだ。しかしこのような早期の段階で一般ユーザの目にも見える具体的な最初の行動があったことにより、ますます大きくなってきていたフリーソフトウェアのDVRユーザの多くが抱える不安はやわらげられたことだろう。

Linux.com 原文