Nokiaタブレット端末にSkype機能と改良カーネルを提供するMaemo 3.2

 今週末、Nokiaはタブレット型インターネット端末N800向けの最新のアップグレードをひっそりと発表した。正式名はInternet Tablet OS 2007 Editionバージョン4.2007.26-8だが、オープンソース界の支持者たちからはMaemo 3.2と呼ばれるこの最新版では、待望のLinuxカーネルの変更、バッテリ持続時間の向上、そして広く普及しているソフトフォンSkypeなどアプリケーションソフトウェアの目立った更新が行われている。

 タブレット端末の所有者たちは、何か月も前からN800カーネルのサードパーティ製のパッチを入手してSDHC(Secure Digital High Capacity)メモリカードを利用してきた。SDHCカードの容量は最大で8GBだが、N800のカードスロットは、物理的にはSDHC準拠であるにもかかわらず、カーネルにパッチをあてなければ最初の2GBしかフォーマットや読み取りができなかったためだ。今回、このパッチがデフォルトのMaemoカーネルに含められたことで、利用可能なストレージの総容量は何と16GBにまで増えている。

 公式な説明ではMaemoの新しいカーネルによるサポート対象はSDHC準拠の4GBおよび8GBのカードとなっているが、maemo-usersメーリングリストには、さらに容量の大きな各種SDカードも動作している、との報告が寄せられている。

 今回のリリース発表でNokiaは、ユーザの使用感向上につながるであろうシステムレベルの2点の改善にも触れている。1つは、タッチスクリーンドライバの感度の向上で、「負荷が高い状況」での応答性が高まることになる。この修正により、反応を確かめるためにユーザが激しく画面をタップしなければならなくなるという問題は緩和されるだろう。

 システムレベルのもう1つの改善は、特にWiFi接続使用時の消費電力の削減である。リリースノートには、これらの改善により、バッテリ持続時間が「著しく延びる」と記されている。だが今のところ、実使用でバッテリ寿命がどれほど向上するかについては報告されていない。

 アプリケーションレベルの大幅な機能強化としては、Flash 9のサポートとSkypeがある。Flash 9のサポートは、N800のWebブラウザOperaにおけるAdobe製Flashプラグインの正式アップデートを受けたものだ。planet.maemo.orgでのユーザからの報告によれば、アップデートされたFlashプラグインではYouTubeのビデオ再生がスムーズになっているという。

 Skypeはスタンドアロンのアプリケーションである。N800の内蔵カメラを使ったテレビ電話機能はまだサポートされていないが、既存のSkypeアカウントとうまく統合されているので、N800ユーザにとっては、音声チャット用のオプションがさらに1つ増えることになる。Daniel Gentlman氏のTabletblog.comでは、Skypeクライアントのビデオデモを見ることができる。

 既存のアプリケーションに対する変更など、今回のアップデートについての詳しい情報は、リリースノートに記されている。なお、Maemo 3.2そのもの以外に、MaemoのSoftware Development Kitでも開発者向けの新しいツールがリリースされている。

 今回のリリースはN800タブレット専用のものだが、MaemoプロジェクトのQuim Gil氏はN770タブレット端末用のアップデート予定もあると発表している。

 Maemo 3.1のときと同じく、今回のアップデートをインストールするには、ファームウェアイメージをダウンロードして端末にフラッシュする必要がある。この作業により、タブレット端末のソフトウェア(インストール済みのアプリケーションも含む)に対するカスタマイズ内容はすべて上書きされるが、SDメモリカードに保存されているデータファイルが影響を受けることはないはずである。

Linux.com 原文