オープンソースの活動家が米国家予算情報の透明化を目指す

 今年3月、前上院議員で大統領候補のBill Bradley氏は「 The New American Story 」という米国の政策の改革についての書籍を出版した。そしてそのプロセスの一貫として(また公的市民として)Bradley氏は米国家予算について知ることのできるウェブでの窓口を構築することでオープンソースの活動家としてもデビューしようとしている。

 この新たな活動にはBradley氏の他にも、Wikia.comのJimmy Wales氏、League of Technical VotersのSilona Bonewald氏、LBJ Family of OrganizationsのTaylor Willingham氏などが参加している。この新たなグループは、野心的なプロジェクトを開始するため8月にテキサス州オースティンにおいて会合を開く予定だ。

 Bradley氏によると「人々が適切な情報を持っているときの方が、民主主義国家は人々の要求に対してより敏感に反応する。このTransparent Federal Budget(透明な国家予算)プロジェクトの目的は、例えば道路や橋、乳がん、ミサイル、中等教育といった特定の分野にどれほどの予算があてられているのかを誰もがインターネットを使って知ることができるようにすることだ。キーワード検索を使って、関連する国家予算内の具体的な分野を明らかにすることができるようになるだろう。また、国家予算内のそのような分野について行なわれた議会での討議内容や、その分野について行なわれた投票や、誰がどのように投票したのかという情報や、さらにはそのように投票した上院/下院議員の選挙活動に寄与している人々についての情報を調べることができるようになるだろう。Transparent Federal Budgetプロジェクトによって市民は、選挙で選ばれた役職者に説明責任を果し続けてもらうことができるようになるだろう」とのことだ。

 ではなぜオープンソースなのだろうか? Bradley氏の説明によると「オープンソースによって、様々なコミュニティが簡単に情報にアクセスして、その情報をさらに発展させることが可能になる」ためとのことだ。

 またWillingham氏は同じ問いに対して「他に方法があるだろうか? オープンソースこそまさにわれわれの中心的な考え方だ。コミュニティを構築しながらコミュニティが問題解決に使うツールを構築し、ツールを構築しながらコミュニティを構築するというように問題を解決していくのは素晴らしいアイデアだ。それにこの問題は大きすぎて、一つの組織だけで取り組むことはとうていできない。同時に、一つの組織だけにこのような技術や情報の管理を任せるということも本当に望むところではない」と答えた。

 またWales氏は「オープンソースは、ソフトウェアの分野で革命を起こした。今やわれわれには、プログラミングについての古い格言である『十分な数の目玉があれば、バグは深刻ではない』が、ソフトウェアの世界以外でも広く使えることが分かっている」と答えた。

 一般的にコンピュータおたくは政治には関わらない人々だと言われている。通常、コンピュータおたくは公の場に出る人々に対して懐疑的だ。しかしWales氏は「私は政府においてもビジネスにおいても透明性が大事だと思うので、政府を監視するためのプロジェクトの一員として他の素晴らしい人たちとチームを組むことができて大変嬉しい。この件に関しては、どの政党にも問題があった。というのも、どの政党も一般大衆の利益ではなく圧力団体に対する政治的なコネとして働くような予算の割り当てを隠し続けてきたからだ」と述べた。

 さらにWales氏によると「このプロジェクトのリーダーはSilona Bonewald氏だ。私は彼女をよく知っていて、この2年間様々なプロジェクトで一緒に活動してきたが、おそらくこれから大きなことが起こるだろうと自信を持って言うことができる。適切な理由、人材、タイミングが揃っている。だから私も参加した」とのことだ。

 Bonewald氏は元ゲームプログラマだ。技術の専門家も政治にもっと関わるべきだと考え、そのような取り組みの一つとしてコードソンを開始した。コードソンでは、非営利コミュニティのメンバーが、参加したプログラマとともにコーディングのマラソンに取り組んだ。その成果であるプログラムは現在、法律の制定者たちが行なっていることを非営利団体がよりよく知るための手助けをしている。

 Transparent Federal Budgetプロジェクトの資金をどのように調達するのかは今のところはまだ不明だ。National Issues Forums Instituteの理事会メンバーでありケタリング財団にも関わっているWillingham氏によると、「資金についてはどこからでも大歓迎だ。LBJ Libraryは会合を支援してくれ、多くの個人(特にSilona Bonewald氏)が数えきれないほどの時間を寄与してくれている。われわれは基本的に『物事は始めてしまえば、どこからともなく助けがやってくるものだ』という考え方に従っている。もちろん、小切手を送ってくれる人には喜んで送り先を知らせたい」とのことだ。

Linux.com 原文