Dell、ノートブックPCモデル9種のディスプレイを無料交換――画面上に幅1ピクセルの縦線が入る不具合で

 米国Dellは6月19日、同社が販売するノートブックPCの一部の液晶ディスプレイ(LCD)に幅1ピクセルの縦線が入ることをWebサイト上で複数のユーザーに指摘されたのを受け、対象となるノートブックPCモデル9種で、LCDの無料交換を開始していることを明らかにした。

 この問題を取り上げた「Dellverticalline.com」サイトには、「Dellは2005年に不具合のあるLCDを出荷したうえに、その交換対応でもユーザーに不快な思いをさせている。問題に対する関心を高めるため、本サイトを開設した。Dellの責任者は今回の問題を把握し、同社の優良顧客をゴミのように扱うことをやめ、ただちにディスプレイの交換に応じるべきだ」と記されている。

 同サイトによると、不良のディスプレイをそのまま使い続けると、1ピクセル幅の縦線(背景の反射色など)が画面に定着してしまう。

 Dellは2007年4月に初めてこの不具合を認め、2004年11月から2006年10月までに販売された「Inspiron 9200」「Inspiron 9300」「XPS Gen 2」の17インチ・ディスプレイの交換に応じたという。

 同社は19日、ディスプレイの交換プログラムを拡大し、2004年12月から2006年12月の間に販売された「Inspiron 6000/8600」「Latitude D800/D810」「Precision Mobile Workstation M60/M70」の6モデルを新たに交換対象に加えたことを明らかにした。

 Dellのデジタル・メディア・マネジャー、ライオネル・メンチャカ氏は、同社のコーポレート・ブログの中で、これらのモデルの一部に時間の経過とともに縦線を生じさせる不良部品が使われていたと説明している。

 メンチャカ氏によると、購入から3年以内の製品でこうした不具合のあるLCDは交換し、交換費用を自己負担せざるをえなかったユーザーには払い戻しを行うという。

 IDG News Serviceでは、交換プログラムの規模や、製造元が返金に協力するか否かについて、同社に回答を求めたが、コメントは得られていない。

 今回のリコール騒ぎは、同社が米国証券取引委員会(SEC)の会計調査に協力し、NASDAQ株式市場での上場維持に力を注ぐと同時に、ライバルのHPに奪われたマーケット・シェアを取り戻すプログラムを展開する中で起きた。HPは現在、Dellに代わって世界最大のPCベンダーの座に就いている。

 DellのCEO、マイケル・デル氏は、こうした厳しい状況の打開策として、今年2月に前述のコーポレート・ブログを立ち上げ、社員の10%を解雇する計画を発表した。また、5月にはウォルマートなどの小売店でのPCの販売に踏み切った。Webサイトや電話によるPCの直接販売を身上としてきた同社にとって、小売店への進出は大きな方針転換だと言える。

(ベン・エームズ/IDG News Service ボストン支局)

米国Dell
http://www.dell.com/

提供:Computerworld.jp