Dell、ノートPC用バッテリを410万個リコール──過熱発火のおそれ

 米Dellは8月14日、同社のノートPC「Latitude」、「Inspiron」、「XPS」「Precision Mobile Workstation」の各モデル用リチウムイオン・バッテリの一部に過熱・発火のおそれがあるとして、バッテリの自主回収・無償交換を開始した。

 自主回収・無償交換対象のバッテリはソニー製で、2004年4月から今年7月18日までにDellのノートPCに搭載されたものか、単体で顧客に出荷されたもの。修理交換用として販売された可能性もある。同バッテリが搭載されていたノートPCは全世界で約410万台(米国で約270万台、それ以外の地域で140万台)に上るという。

自主回収・無償交換の対象となるバッテリは、下記モデルのDell製ノートPCに搭載されている。

  • Latitude:D410、D500、D505、D510、D520、D600、D610、D620、D800、D810
  • Inspiron:500M、510M、600M、700M、710M、6000、6400、8500、8600、9100、9200、9300、9400、E1505、E1705
  • Precision:M20、M60、M70、M90
  • XPS:XPS、XPS Gen2、XPS M170、XPS M1710

 自主回収対象のバッテリの背面には「DELL」および「Made in Japan」または「Made in China」、「Battery cell made in Japan Assembled in China」と記載されている。自主回収対象に該当するかどうかは、DellのWebサイトで詳しく確認することができる。また、最寄のDellサポート窓口でも顧客からの質問を受け付けている。

 米国の各メディアは、「米国消費者製品安全委員会(CPSC)が“家電業界史上最大のリコール”になると述べた」と報じている。

 ニューヨーク・タイムズとウォール・ストリート・ジャーナルの8月14日付報道によると、Dellは昨年12月からノートPCの過熱による発火事故が6件あったが、ユーザーがやけどを負ったケースはなかったとしている。Dellは声明で、この一連の事故はソニーが製造したバッテリの欠陥が原因としたうえで、「これらのバッテリは、ごくまれではあるが、過熱により発火するおそれがある」と説明している。

 なお、Dellによると、ノートPCのシステムを停止させて問題のバッテリを本体から外してから、ACアダプタと電源コードを使用すれば、代替バッテリが届くまで、ノートPCを安全に使用し続けることができるという。

 ちなみに、CPSCによると、これまでにもヒューレット・パッカード(HP)やApple Computerなど他のメーカーで、ノートPCのリチウム・イオン・バッテリがリコール対象になったことがあったという。Dellは過去にも、2005年12月に2万2,000個、2001年に28万4,000個、2000年に2万7,000個のノートPC用バッテリを自主回収し、その際、代替品が届くまで問題のバッテリを使用しないよう消費者に呼びかけた。リチウム・イオン・バッテリは、携帯電話、ビデオカメラ、デジタルカメラ、その他の家電機器にも使用されている。

(ロバート・マリンズ/IDG News Service サンフランシスコ支局)

提供:Computerworld.jp