日本HP、シン・クライアント製品「ブレードPC」の新機種を発表──シン・クライアント事業の新戦略も披露

 日本HPは6月14日、同社のシン・クライアント製品「ブレード PC」シリーズの新機種「HP bc2000 Blade PC」を同日から販売開始した。併せて、その上位機種となる「HP bc2500 Blade PC」と、シン・クライアント機能を強化するソフトウェア2製品を8月中旬に販売すると発表した。

 bc2000には、高性能と低消費電力の両方を追求したAMDのAthlon 64 2100+プロセッサが搭載され、OSにはブレード製品としては業界初(日本HPの発表)となるWindows Vista Businessが採用されている。同社によると、bc2000は電力使用効率が高く発熱量が低いことから、高密度に集約した形での使用に適しており、一般的な42Uのラックでは、同製品を280枚まで収納できるという。なお、bc2000の価格は、13万4,000円(10パック価格;136万5,000円)である。

 また、8月中旬に販売予定のbc2500には、Athlon 64 2100+の上位モデルであるAthlon 64 X2 3000+プロセッサが搭載される。同社によると、bc2500の性能はbc2000の約1.7倍に達するという。

 同じく8月に販売が予定されているのは、シン・クライアント環境で用いる管理ソフトウェアである。シン・クライアント端末からサーバ・ルーム内にあるブレードPCへのリモート・デスクトップ接続を管理する「Session Allocation Manager(SAM)v2.0/v2.1」と、シン・クライアントの画面描画情報の転送を圧縮技術で高速化する「Remote Graphics Software(RGS)v5.0」の2製品となっている。

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HP bc2000 Blade PC(クリックで拡大)

 SAMには、ユーザーがシン・クライアント環境下で行っている作業を場所・時間によらず継続できる「Follow Me Roaming」や、障害発生時でも作業状態を保護する「Dynamic Allocation」などの機能が備わっている。また、ブレードPCのOSについて、同じラック内でWindows XPとWindows Vistaを混在させることもできるため、XPからVistaへのスムーズな移行も可能という。

 一方、RGSは、米国航空宇宙局(NASA)の火星探査機で使われた圧縮技術を用いるもので、従来のシン・クライアント環境では難しかったスムーズな画面表示が実現できるという。RGSは、同社のブレードWS(ワークステーション)ではすでに用いられているが、このほどブレードPCにも対応することになったという。

 今回発表されたこれらの製品群は、現在、HPがブレードPCを核に展開するシン・クライアント事業での新戦略となる「リモート・クライアント・ソリューション(RCS)」の一環として発表された。同戦略について、同社パーソナルシステム事業統括執行役員の松本光吉氏は「シン・クライアントの適用範囲を拡大し、ユーザーが使いやすい環境を提供するためのもの」と語った。

 同社がシン・クライアントへの取り組みを強めたのは2005年6月で、このとき、同技術を用いることでTCO(所得総コスト)の削減を実現するとした「HP Consolidated Client Infrastructure(CCI)」を発表している。松本氏は、「(CCIの発表から)この2年間でシン・クライアントの用途は多様化し、特定の機能に特化した製品では十分に対応できないことを実感した」と述べ、CCI戦略で得た課題をRCS新戦略でカバーしていくとした。

(高山哲司/Computerworld)

日本HP
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