LiPSフォーラム、Linux携帯電話向け仕様の第1版をリリース――Gnomeベースのユーザー・インタフェースを採用
同仕様には、リファレンス・モデル、アドレス帳、音声通話駆動機能、テキスト入力API、ユーザー・インタフェース・サービス(ウィジェット・セットなど)などが含まれている。
2005年末に創設されたLiPSフォーラムは、多様な携帯電話に対応するモバイル・アプリケーションの開発を容易にするLinux携帯電話のソフトウェア・レイヤの標準化に取り組んでいる。
LiPSフォーラムのビジネス開発担当ゼネラル・マネジャー、ビル・ワインバーグ氏は、「市場にさまざまなLinux携帯電話が登場している背景には、 Linuxをプラットフォームにすることで、異なる機種で動作するアプリケーションを開発する負担が少なくなるという認識がある。LiPS標準は、まさにそうした負担の軽減を目的としている」と述べている。
LiPSフォーラムは、ユーザー・インタフェース・フレームワークの基盤としてGnomeのユーザー・インタフェース・ツールキット「GTK」を選択した。これは、チャンスが開ける企業と、閉ざされる企業が出てくることを意味する。
例えば、Linux携帯電話向けのアプリケーション・プラットフォームとユーザー・インタフェースを提供しているトロールテックにとっては大きな打撃となる。
この点について、ワインバーグ氏は、「トロールテックは携帯電話分野で成功しているが、われわれは、Gnomeの採用が大きな流れになっていると考えている」と説明する。LiPSフォーラムに参加するパープルラボやアクセス、オープンプラグなどの企業は、いずれもGnomeの技術を基盤として利用しているという。
LiPSフォーラムはGnomeのGTKをベースにAPIを定義し、GTKを携帯電話での利用向けに最適化した、と同氏は述べている。
LiPSフォーラムが次に策定する仕様では、インスタント・メッセージング(IM)のような機能がカバーされるほか、ユーザーや携帯電話事業者が携帯電話のユーザー・インタフェースを変更できる機能が盛り込まれる見通しだ。
ワインバーグ氏によると、来年登場する見通しの3番目の仕様では、アプリケーションが携帯電話の各種リソースを使用する方法に重点が置かれる。「現状では、リソースの使用の方法がばらつきすぎている。このため、仕様セットを確立することが重要になる」
LiPSフォーラムの活動のように、携帯電話用Linux環境に焦点を当てた国際的な取り組みは多数進められているが、米国ではモバイルLinuxの普及が他の地域よりも遅れている。ワインバーグ氏は、「Linux携帯電話の開発は中国と日本で活発だが、米国では『慎重な姿勢』が目立っている。その一因は、米国の携帯事業者が市場を強いコントロール下に置こうとしていることにある」と指摘している。
(ナンシー・ゴーリング/IDG News Service シアトル支局)
LiPS(Linux Phone Standards)フォーラム
http://www.lipsforum.org/
提供:Computerworld.jp