組み込みLinux市場、2007年には45億円規模に拡大へ
富士経済は2007年3月22日、国内の組み込みLinuxの市場が2006年から3年間で40%拡大し、2009年には45億円規模になるとの予測を発表した。同社の組み込みシステム市場調査レポート「エンベデッドシステムマーケット 2007」によるもので、デジタル家電や携帯電話機器での採用がけん引しているという。
組み込みLinuxは、リアルタイム性の向上や関連ツールの整備などにより、デジタル家電機器や携帯電話機器などで採用が進行。2000年ごろから市場を形成して急拡大した。2005年以降、2けた成長が続いているが、最近は、やや落ち着きを見せるようになっているという。
レポートによると、2006年の組み込みLinux市場規模は32億円で前年比15%増。採用件数ベースでは同17%増の720件だった。分野別規模では、業務・産業用が20億円、民生用が12億円で、業務用優位の状態。
業務用の約45%は、キャリア向けの通信機器などを中心とした通信・ネットワーク関連で、さらに次世代通信網(NGN)関連の需要で、拡大傾向にあるという。民生用は情報家電が中心で、今後もデジタルテレビ、HDDレコーダー、ホームサーバ用途などのLinux採用が増加する見込み。同社は、2009年の市場規模は45億円で、業務・産業用が28億円、民生用が17億円になるとみている。
このほか組み込みOS市場全体では、2006年からの3年間で21.3%成長して、2009年に108億円規模になると予想する。OSは4タイプに大別され、Linuxのほか、国内制御機器で広く普及するITORN、産業・航空・宇宙・軍事分野で実績がある商用RTOS、業務・車載・携帯電話向けに活用されるWindows Enbededがある。また、複数OSを組み合わせたハイブリッドOS構成も増加しているという。【鴨沢 浅葱/Infostand】