OpenOffice.orgをドキュメント変換ツールとして活用する方法

 OpenOffice.orgはサービスの1つとして実行できることをご存じだろうか。この機能に関しては、ちょっとした利用法がある。それは、OpenOffice.orgをドキュメントのファイルフォーマットの変換エンジンとして立ち上げておき、Webベース型インタフェースやコマンドライン系ツールを介して操作するという使い方である。ただしこうした形でOpenOffice.orgのファイル変換機能を利用するにはJODConverterの助けを借りなければならない。

 ここで解説するファイル変換エンジンとして使用する場合、OpenOffice.orgはサービスの1つとして起動しておく必要がある。これはつまり、GUIを省いた形でOpenOffice.orgを実行させ、特定ポートへの接続を監視させるということである。Linux環境の場合、下記のコマンド指定でOpenOffice.orgを起動させることでそうした処理が行える。

soffice -headless -accept="socket,port=8100;urp;"

 Windows環境の場合は、下記のコマンドを実行すればいい。

"C:\Program Files\OpenOffice.org 2.2\program\soffice" -accept="socket,port=8100;urp;"

 次はJODConverterの準備である。これはJavaベースのツールであり、その使用に際してはJava Runtime Environmentのバージョン1.4以上をインストールしておかなければならない。そして最新バージョンのjodconverter-tomcat-x.x.x.zipパッケージをダウンロードして、各自のホームディレクトリに展開しておく。後はbinディレクトリのstart.shスクリプト(Windowsの場合はstart.bat)を用いてJODConverterを実行させればいい。

sh jodconverter-tomcat-2.1.1/bin/startup.sh

 なおUbuntuの場合は、JAVA_HOME変数が未設定である旨のエラーメッセージを出されることがある。この問題に関しては「locate /rt.jar」コマンドによりJava Runtime Environmentの格納位置を確認してから、下記のように変数設定を施せばいい(ディレクトリはlocateコマンドで確認したものとする)。

export JAVA_HOME=/usr/lib/jvm/java-1.5.0-sun-1.5.0.11

 上記のコマンドを各自の/home/ユーザ/.bashrcファイルに登録しておくと、JODConverterを起動するごとに先の操作を手作業で実行しなくて済むようになる。あるいは/etc/bash.bashrcファイルに登録しておくと、全ユーザが適用対象となる。

 次にWebブラウザを起動してhttp://localhost:8080/converterというアドレスにアクセスすると、Webインタフェース形式による簡易的な操作画面が表示されるはずである。実際の操作としては、この画面から変換対象のファイルおよび変換後のフォーマットを選択して、Convert!ボタンをクリックすればいい。

 ここまでの解説では、OpenOffice.orgとJODConverterを同一のマシン上で実行していることを前提にしている。実際には、他のマシン上でサービスとして実行されているOpenOffice.orgに接続させるよう、JODConverterを設定することも可能である。具体的な手順については「Art of Solving」のWebサイトに詳しく解説されているので、そちらを参照して頂きたい。

 ドキュメントの変換はコマンドラインからも実行することができ、その手順も簡単である。まずは最新版のjodconverter-x.x.x.zipパッケージをダウンロードしておき、各自のホームディレクトリに展開しておく。次にOpenOffice.orgをサービスの1つとして起動しておけば、「java -jar lib/jodconverter-2.1.1.jar」というコマンドを用いてドキュメントの変換が行えるようになる。実際の使用法としては下記のように変換元ファイルと出力先ファイルを指定すればいい。

java -jar jodconverter-2.1.1/lib/jodconverter-2.1.1.jar loremipsum.odt loremipsum.pdf

 必要な操作はこれだけである。OpenOffice.org以外の形式で作成されたファイルを変換し直すケースが多い場合、この機能は理想的なドキュメント変換ツールとして使えるはずである。

Dmitri Popovは、フリーランスのライターとして、ロシア、イギリス、アメリカ、ドイツ、デンマークのコンピュータ雑誌に寄稿している。

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