IBM、Lotus Notes/Domino 8のベータ版をリリース――製品版リリースは今年半ばの予定

 米国IBMは3月14日、今年半ばに製品版リリースが予定されている、コラボレーション・ソフトウェアの「Lotus Notes/Domino 8」パブリック・ベータ版をリリースし、開発が順調に進んでいることをアピールした。

 Lotus Notes/Domino 8はサーバ管理型クライアント・ソフトウェアの「Lotus Notes 8」と、コラボレーション・プラットフォームを提供するサーバ・ソフトウェアの「Lotus Domino 8」で構成されている。

 Lotus Notes 8は、「Lotus Expeditor」と呼ばれるEclipseベースの開発環境で作成されたクライアント・ソフトウェアで、XMLベースのサービスやインタフェースをサポートしたアプリケーションに対応する。また、プラグインを追加することでさまざな機能やアプリケーションを付加することが可能となっている。

 IBMのロータス・メッセージング/コラボレーション・ツール担当バイスプレジデントのケン・ビスコンティ氏は、「Lotus Notes 8は、かつてのLotus Notesとは違う」と強調する。

 Lotus Notes 8ではODF(Open Document Format)がサポートされており、ユーザーは「IBM Productivity Tools」を利用して文書、表計算、プレゼンテーション資料などを作成・編集・保存することができる。

 また、RSS購読といった新機能をはじめ、インライン・スペルチェック、メール・リコール、電子メール・スレッドのグループ分け機能など、従来のLotus Notesに搭載されていた機能もアップグレードされている。

 同社によると、Lotus Notes 8は、ソーシャル・ソフトウェア・プラットフォームの「Lotus Connections」、コンテンツ共有アプリケーションの「Lotus Quickr」、ユニファイド・メッセージング・ソフトウェア「Lotus Sametime」との連携も容易にできるという。

 一方、Lotus Domino 8は、デジタル証明書の有効性をリアルタイムで確認するプロトコル「OCSP(On-line Certificate Status Protocol)」を新たにサポートしている。また、プロビジョニングをはじめ、不在通知配信の迅速化、Webサービスのサポート強化なども図られている。

 ビスコンティ氏は、「Lotus Notes/Domino 8こそがビジネス・ユーザーのすべての要望にこたえられる統合ツールだ」と強調、コラボレーション・ソフトウェアの分野でライバルとなるMicrosoftを牽制した。

 IBMがMicrosoftを牽制する背景には、標準文書フォーマットを巡る対立がある。

 今回、Lotus Notes 8でサポートされているODFは、Google、Novell、Sun Microsystemsをはじめ、オープンソース・コミュニティも支持を表明している電子文書フォーマットだ。

 対するMicrosoftの電子文書フォーマットは、同社が独自に開発し、標準化を目指す「Open XML」である。両社の対立は激しく、先月14日にはMicrosoftが「IBMはOpen XMLの標準化を阻止しようとしている」と非難する文書を公開したばかりだ。

 MicrosoftもLotus Notes/Domino 8の競合製品となる「Exchange Server 2007」および、企業向け「2007 Office system」を昨年11月にリリースした。さらに同社では、VoIP機能をサポートした「Office Communications Server2007」と「Office Communicator 2007」のテスター向けパブリック・ベータ版を、今月中にリリースするとしている。

 なお、ビスコンティ氏によると、IBMはLotus Notes/Domino 8の製品版をリリースする前に、再度パブリック・ベータ版をリリースする予定があるという。

(ジョン・フォンタナ/Network World オンライン米国版)

米国IBM http://www.ibm.com/

提供:Computerworld.jp