「ApacheCon US 2006」開催──「Struts」や「Jackrabbit」新版がリリース

 米テキサス州オースティンで今年10月9日〜13日、「ApacheCon US 2006」コンファレンスが開催され、Apache Software Foundation(ASF)が推進するJava開発フレームワーク「Struts」の新版やコンテンツ・リポジトリ「Jackrabbit」の新版など、さまざまなオープンソース・プロジェクトの新たな成果が発表された。

 同コンファレンスに際し、ASFのエグゼクティブ・バイスプレジデントでコバレント・テクノロジーズのCTOを務めるジム・ジャジエルスキー氏は、Apacheの商用利用について触れ、 「企業はわれわれの技術を商用製品に採用し、われわれのコードを改変してさらに進化させることができる。これはお互いにメリットのあるすぐれた関係である」と語った。

 また同氏は、コンファレンスで、人気の開発フレームワークの新版「Struts Version 2.0」を発表し、「バージョン2.0では、Strutsフレームワークのコントローラが非常にカスタマイズしやすくなった」とアピール。Strutsを、もう1つの人気のフレームワーク「Spring」と組み合わせて使うことが容易になったことを挙げ、「両者は相互にうまくプラグインできるようになった」と語った。

 そして同コンファレンスでは、Content Repository for Java Technology APIに準拠したコンテンツ・リポジトリ「Jackrabbit Version 1.1」も発表された。Jackrabbit 1.1では1.0の多くの問題が修正されたほか、新機能も導入されている。ASFによると、最も注目すべき変更点は、Apache Xerces(ApacheのXMLパーサ・プロジェクトの成果物)に依存する必要がなくなり、アイテム状態のキャッシュが改良されたことだ。

 さらに、JavaアプリケーションやライブラリをCやPerlベースの環境とリンクするなど、Javaアプリケーションと非Javaアプリケーションを統合するための「Jakarta Bean Scripting Framework(BSF)1.0」も発表。ジャジエルスキー氏によると、これはBSFの最初のメジャーリリースとなる。

 加えて、Apache Directory DS(Directory Server)1.0と、オープン・グループによる同サーバの標準認定も発表された。DSはLDAPのフル実装で、パスワード認証などの機能を提供する。ジャジエルスキー氏は、「DSにより、アプリケーション・サーバなどのJavaベース・アプリケーションがLDAP機能をネーティブに利用することが非常に容易になる」と説明した。

 ASFは、企業や個人が同財団に資金的に協力することで、Apache Webサイトでの顕彰などの見返りを受けるという内容のスポンサーシップ・プログラムも発表した。

 一方、チャリオット・ソリューションズは、J2EEサーバ「Apache Geronimo」に対応したプラグインと移行ツールを発表した。発表されたのは、「Tomcat」からGeronimoへの移行ツール、Java Persistence API(JPA)用プラグイン、オープンソースのJavaリポーティング・ツールであるJasperReports用のプラグインなどである。

(ポール・クリル/InfoWorldオンライン米国版)

提供:Computerworld.jp