米IBM:PS3の「Cell」でスパコン、目標は1ペタ級

 米IBMは6日(米国時間)、「プレイステーション3」のために開発されたプロセッサー「Cell」を利用して、高性能スーパーコンピューターを構築する計画を発表した。能力は1ペタFLOPS(1秒間の演算回数が1000兆回)が目標。ソニーやIBMは、Cellをゲーム機だけでなくサーバーなどに転用しており、その能力を証明するのが狙いとみられる。

 Cellは、PS3に搭載されるほか、IBMのサーバーで利用されているが、さらに活躍の場を模索している。スパコン番付の「TOP 500」によると、現時点で世界最速のスパコンはIBMの「Blue Gene/L」(ピーク時で約360テラFLOPS、1000テラ=1ペタ)。これを凌駕するマシンを実現することで、Cellの評価を高める。

 開発名は「Roadrunner」で、約1万6000基のCellを搭載する。Cellのほかに、米AMDのプロセッサー「Opteron」も利用する「ハイブリッド型」を採用した。発注したのは米ロスアラモス国立研究所で、2008年に完成予定。

 具体的には、IBMのサーバーのうちCellを搭載した「BladeCenter H」と、Opteron搭載の「System x 3755」を組み合わせて構築する。Opteronが基本的な処理を、Cellが複雑な処理を担当。OSはRedhat Linuxを採用する。能力はピーク時で1.6ペタFLOPSを実現し、安定的に1ペタFLOPSを確保する考えだ。【南 優人/Infostand】

ロスアラモス国立研究所
http://www.lanl.gov/