カリフォルニア大、Googleと結んだ書籍デジタル化計画の契約書を公開
カリフォルニア大の関係者は、Googleとの契約に関する「社会的な関心」にこたえるために内容を公にしたと、電子メールに記している。今回の公開は、8月中旬にIDG News Serviceが同大に対し、契約書面コピーの取得を正式に申請したことを受けて行われた。この契約書は、http://www.cdlib.org/news/ucgoogle_cooperative_agreement.pdfから閲覧できる。
カリフォルニア大は今月初旬に、Google Books Library Projectに参加し、同大キャンパスに点在する100を超える図書館に収蔵された数百万冊の書籍を「Google Book Search」サービスによって検索可能にする契約を締結したと発表していた。同プロジェクトには、ミシガン大学、ハーバード大学、スタンフォード大学、オックスフォード大学およびニューヨーク公立図書館なども参加している。
書籍をデジタル化して検索可能にするという同プロジェクトを巡り、Googleは米国出版社協会と作家協会からの訴訟に巻き込まれている。著作権所有者の許可を得ないかぎり、Googleは図書館から借り受けた作品をスキャンすることはできないというのが原告側の主張だ。
Googleはカリフォルニア大との契約において、一部のスキャンに適用される著作権を順守するという条件の下、スキャンした作品をオンライン・サービス上で自由に使用できる「独自裁量権」を付与されている。また、Googleは、同社および同社の「後継者」が、デジタル化された作品の検索もしくは検索結果の閲覧や、特許権が消滅した作品の全編を表示させるためのアクセスに対して、エンドユーザーに料金を課さないことに同意している。
契約書には、契約金額や支払い方法の詳細は記されていない。有効期限は6年間だが、契約が早期終了する場合もありうるとされている。6年目以降は、両者がプロジェクトの中止を決定するまで、1年ごとに契約の自動更新が行われるという。
Googleは契約期間中、カリフォルニア大およびその利用者に対し、同社が管理するWebサイトを介して、スキャンした作品への「検索アクセス」を無料提供する。
カリフォルニア大も、スキャンした作品を用いたサービスに対する料金、もしくはその他の対価を、徴収および受領しないことを承諾している。ただし、コピーの作成や注釈の参照といった、補助的なサービスはその対象外となる。また同大は、作品を第三者と共有したり、あるいは第三者にライセンス提供もしくは販売したりすることを禁じられている。スキャンした作品を学術目的で他の図書館および教育機関に配布する場合は、その総量が作品全体の10%を超えてはならないとされている。
カリフォルニア大は同契約の中で、書籍デジタル化プロジェクトに250万冊以上の書籍を提供するよう求められている。同大が同意した内容によると、プロジェクト開始後60日間は、1日当たり最低600冊の書籍をGoogleに提供し、いずれは1日当たり3,000冊以上を目指していくという。
契約書には、図書館から書籍を持ち出し、スキャン施設へ運搬して、無傷の状態で安全に元の場所へ戻すまでの具体的な過程も記されていた。Googleが「元の姿と実質的に同じ状態」で書籍を返却しなかったと同大が判断した場合は、Googleは問題の書籍を交換するか、代金を弁償することになる。また、書籍は借り出してから10営業日以内に返却することを原則とし、15日間以上保持することはできないとされている。
(ホアン・カルロス・ペレス/IDG News Service マイアミ支局)
提供:Computerworld.jp