Interop Tokyo 2006開幕、いきなりオープンソース関連から

国内最大のネットワーク関連の総合イベント「Interop Tokyo 2006」の展示会が、6月7日から幕張メッセで開催された。OTPでは、この会期中、会場からニュースやトピックスをOTP独自の視点でお伝えする。

13回目を迎える今年のメインテーマは「Back to the Fundamentals — 見つめ返すと、新たなネットワークの世界が見えてくる」ということで、めまぐるしく変化する技術に惑わされることなく基礎を見つめ直すことで、インターネット上での様々な問題への解決策や本来のあるべき姿を見つけるという点にフォーカス… と書き出すと「今年に限らずInteropはそのような場だよね」という突っ込みが入るだろうし、おそらく他媒体でたくさん同じような書き出しを見ることになるので本題へ入る。

どの媒体でもまずトップに持ってこないだろうと思われる、オープンソース関連の話題から開始する。これは単に私が出展社も兼ねているので書きやすいからという理由もあるが、実は今年より主催者企画展示として今までのセキュリティパビリオン等に加え、「オープンソースパビリオン」というスペースが設置されたという理由もある。

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Interop

まず最初は、VA Linux Systems Japanから。VAリナックスでは、大規模メッセージングソリューション「VA FMS」における配送性能テスト、メール処理中のフェイルオーバー、システム運用中のサーバ追加等の実演。さらにSourceForge Enterprise Editionの展示も行っていたが、OTP読者的には参考出展扱いの「Xenクラスタコントローラ:開発コード(Medusa)」が目玉だろう。

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Medusaデモ(クリックすると拡大)

Medusaは、大規模なXen仮想マシンクラスタ環境を管理、制御するツールであり、基本的な機能として、CPUの状況等ゲストOS動作の統計情報収集と表示、ワークロード管理/管理機能としてスケジュールによるゲストOSへの割り当て資源予約、負荷情報を基にした資源の動的再配分、ライブマイグレーション、サービス無停止でのゲストOSのノード間移動を実現できる。開発中のHA機能では、ゲストOSの監視と再起動、ノード監視とゲストOSの他ノードへの分散再配置がある。今のところはXenに関してここまでの管理系ツールは見当たらないので、個人的にもおもしろいと思っている。

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クマの小物入れ(クリックすると拡大)

ちなみにMedusaデモ写真にも写っているクマの小物入れだが、ブースでのアンケートに答えた人へのノベルティである。Interop会場内を1日歩いたが、今回はどうも現時点ではノベルティが不作で本来考えていた最初の記事であるノベルティ紀行がまだ数が足りないので先に掲載しておく。

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住商情報システム

次は住商情報システム。数年前からMySQL社に直接エンジニアを派遣し、さらに今年になってMySQL社に出資したということもあり、MySQL関係で展示は統一。MySQL社の関係者もチラホラと現れていたので、MySQLのブースだと勘違いしそうではある。展示内容はMySQLに日本語全文検索システムのSennaを組み込んだデモがメインであった。

ブルヘッド。名前は実は初めて聞いたのだが、NTTソフト系の会社でモバイル系のネットワークシステムや端末の開発等をメインに事業を行っていた会社とのことだが、昨年からオープンソースソリューションを新規事業として開始しているらしい。

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ブルヘッド

展示内容は、問い合わせ管理システム「Request Tracker」、情報ポータルエンジン「PHP-Nuke」、ドキュメント管理「OpenDocMan」と全てApache, MySQLのLAMP系のツールで、情報共有化を目的としたWebツールに注力しているようだ。お気付きの方も多いと思うが、全て同名のオープンソースプロジェクトが存在し、それなりによく使われているツールだと思うが、ブルヘッドでは独自に日本語版としてのローカライズを行い、場合によっては機能追加。カスタマイズも行っているようだ。どこで儲けるのか気になってしまったが、基本的には顧客の運営開始までのシステム用サーバ構築と初期導入設定がメインになるようだ。

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Nacl

ネットワーク応用通信研究所(NaCl)。「Matz氏の会社」と言えば今は一番通じやすい会社であるが、それらしく Ruby on Railsトレーニングプログラムの紹介を行っていた。Webアプリ開発経験者向けにRuby on Railsの開発の基礎を教えるもので、Rubyおよびデータベースの基礎ならびにBtoBアプリケーションの作成実習から成るとのこと。次の7/3からの講師にはRuby作者のMatz氏、後藤裕蔵氏、前田修吾氏のようだ。特に展示はこれだけだと思っていたが、写真をよく見ると日本語全文検索システムRastのパンフも写っているので、何かデモでもしているのかもしれない。

最後はIPAだが、八田主筆に遠回しに批判されていたオープンソース情報データベース「OSSiPedia」の紹介を行っていた。性能評価、導入事例情報、ナレッジベースの3種類のカテゴリから構成されていて、事例を見るにはよいだろう。OSSiPediaの記述に関しては私も釈然としない内容があったりするのだが、キリがない状態になりそうなので個別の内容には触れないでおく。間違いは報告されれば直すというスタンスであり、そのためにWikiを使っているのだと認識しているので、より良いシステムになるように皆様で頑張って頂ければと思う。

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オープンソースパビリオン以外にオープンソース系の展示としては、同じく出展者企画展示のベンチャーパビリオンに数社かたまっていた。おなじみのアックスが、マルチメディア対応組込みLinux「axLinux」と手書き文字認識をサポートする組込み/携帯機器向けGUI「式神」を展示していた他、超小型のLinuxサーバ「Armadilloシリーズ」で知られているアットマークテクノが2つのEthernetポートを搭載した小型・高性能モデルの新製品 「Armadillo-230」等を展示していた。

明日は、何とか他の話題を書ければよいと思う。コンパニオン特集はどこかでやってるので避けたいところだが、他に何か見てこいというものがあればコメントにでも入れてもらえばあと二日間頭に入れて歩くことにする。

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