豪国立科学機関CSIRO、seL4マイクロカーネルの支援を打ち切りへ

 seL4マイクロカーネル開発を支援してきたオーストラリア国立科学機関CSIROが、開発作業にあたっていたチームを解散することが明らかになった。seL4は2020年よりLinux Foundationの下でプロジェクトが運営されており、そこで開発が続くと期待されている。

 seL4マイクロカーネルは、安全が重視されるアプリケーション向けのオープンソースOS。「L4マイクロカーネルファミリーの中で最も高度」としており、包括的なフォーマル検証などを特徴とする。デフォルトで動いているコンポーネントを完全に隔離しつつ、コンポーネント間の通信チャネルを作成することもできるという。

 Arm v6/v7(32-bit)/v8(64-bit)コア、PC99(x86)コア(32-/64-bitモード)、RISC-V RV64(64-bit)コアなどで動かすことができる。x64とArm v7(32-bit)/v8(64-bit)ではマルチコアもサポートする。

 seL4はCSIROのデータ研究部門であるData61で、Trustworthy Systemsチームがスタートした。その後、2020年4月にThe seL4 Foundationを立ち上げ、Linux Foundation下で運営されることが発表されている。5月21日、プロジェクトを率いてきたGernot Heiser氏はTwitterで、Data61がTrustworthy Systemsチームを解散したことを発表した。

 The seL4 Foundation設立時、設立の目標の1つとして、特定の組織の支援に依存せずにプロジェクトを長期的に存続できるようにする、と掲げていた。現在、プロジェクトのWebサイトを見ると、プレミアムメンバーとしてドイツHENSOLDT Cyber、Heiser氏が教授を務める豪ニューサウスウェールズ大学シドニー校が名を連ねており、ゼネラルメンバーとして6社が並んでいる。

The seL4 Foundation
https://sel4.systems/Foundation/