Googleが「Flutter 2」を公開、モバイルからWeb、デスクトップに拡大

 Google(米Alphabet傘下)のUI/アプリケーションツールキット「Flutter」開発チームは3月3日、最新のメジャーリリースとなる「Flutter 2」公開を発表した。モバイルフレームワークからデスクトップなどでも動く移植性のあるフレームワークにフォーカスを拡大した。

 Flutterは、単一のコードベースから任意のプラットフォーム向けにアプリを構築できるフレームワーク。Googleが開発し、オープンソースとして公開している。初の正式版(「Flutter 1.0」)は2018年に公開され、すでにWeChat、Grab、Sonosなど多数のアプリがFlutterを使っており、Play Storeだけでも、15万以上のFlutterアプリが公開されているとのこと。Google自身もDartとFlutterを使ってアプリを開発しており、Google One、Google Nest Hub、Stadia、Google Payなど運用環境のものもあるという。なお、数ヶ月前にFlutterに切り替えたGoogle Payでは、50万行以上の不要なコードを削減できたと報告している。目標は、開発者がターゲットとするプラットフォームではなく、作成したい体験を起点にアプリ開発できるフレームワーク。そこでバージョン2では、Chrome、Firefox、Safari、EdgeなどのWebブラウザで動くWebアプリに加え、同じコードベースを使ってiOS、Android、Windows、macOS、Linuxの5種類のOSのネイティブアプリを作成できる。車載システム、TV、スマートホーム端末などに組み込むこともできるという。

 バージョン2ではWeb向けのサポートがベータから正式扱いになった。Webがドキュメント中心からリッチなプラットフォームに進化していることを受けて、FlutterはモダンなWebが有する機能を活用できるアプリ中心のフレームワークを目指しているという。

 本バージョンでは、Progressive Web Apps(PWAs)、Single Page Apps(SPAs)、そして既存のFlutterモバイルアプリのWeb対応の3つにフォーカスした機能を備える。また、デスクトップのサポートも「ベータスナップ状態」となった。2.0では、早期リリースフラグを付けてstableチャネルで提供し、2021年後半に正式な安定リリースになるという。サポートするプラットフォームの拡大に合わせて、プラットフォーム適応アプリの例として「Flutter Folio」も公開した。自分のアプリをプラットフォーム適応にしたい開発者向けに、Folioのソースコードを参照用に公開している。

 Googleは同日、「Ubuntu」を開発する英Canonical、米Microsoft、トヨタ自動車の3社との協業も発表した。CanonicalはLinuxデスクトップで、MicrosoftとはWindowsに加えて、折り畳み式Androidデバイス(「Surface Duo」)のサポートで協業しており、Flutterエンジンにコードを貢献するという。トヨタとは、車載システムでFlutterのembedder APIを活用する取り組みを進めるという。

 Flutter 2.0はプロジェクトのWebサイトより入手できる。

Flutter
https://flutter.io/
Flutter Folio
https://github.com/gskinnerTeam/flutter-folio