GNUプロジェクトが開発するパッケージマネージャ「GNU Guix 1.1」リリース

 GNU Projectが開発するパッケージマネージャ「GNU Guix」開発チームは4月15日、最新版となる「GNU Guix 1.1.0」を公開した。

 GNU Guixは、ディストリビューションに依存しないパッケージ機構「Nix」を土台とするパッケージマネージャおよびシステムディストリビューション。パッケージのアップグレードとロールバックの両方をサポートし、特権なしでのパッケージ管理といった機能も備える。Scheme処理系であるGNU Guile向けのAPIも提供され、これを使ったパッケージの定義やシステムの設定にも対応する。

 GNU Guix 1.1.0は、2019年5月に登場した「GNU Guix 1.0」に続く最新版。この期間、200人以上の人が開発に貢献したという。合計のコミット数は1万4000件以上と報告している。

 新たに、複数のマシンを一度にデプロイできる「guix depoy」ツールが加わった。これを利用することで、リモートにあるマシンをSSH経由で操作できるようになる。また、デプロイ時に使用するパッケージのチャネルやコミットを特定できる「guix system describe」コマンドも導入した。2種類のシステムインスタンス間の変更を正確に追跡する機能を含むprovenanceサービスや、古いバージョンのパッケージをインストールできる「guix time-machine」コマンドも加わった。

 「guix pack」コマンドではコンテナプラットフォーム「Singularity」やDocker向けのイメージ生成が可能になった。「guix challenge」や「guix system」といったコマンドでも強化が加わっている。また、土台のGNU Guileがバージョン3となり、性能が改善しているという。

 ディストリビューションでは、ブートストラップバイナリを50%削減し、パッケージ依存性グラフをバイナリシードに入れた。バイナリコード監査に向けた重要なステップになるとしている。また、Guix System向けのグラフィカルなインストーラーが加わった。1.0におけるバグ発見を受けて、インストーラー向けの自動テストフレームワークも導入した。

 1.1では3514のパッケージが加わり、合計のパッケージ数は1万3000以上となった。NFSサーバー、PulseAudioなど19種類のサービスも新たに加わった。

 Guix 1.1はプロジェクトのWebサイトより入手できる。ISO9660形式のインストールイメージや仮想マシンイメージなどを用意しており、Guixのユーザーは「guix pull」コマンドを利用してアップデートできる。

GNU Guix
https://guix.gnu.org/