米Dropbox、「Pyston」プロジェクトへの支援を打ち切りに
高速なPython実行環境を目指して開発されている「Pyston」の開発チームは1月31日、最新版となる「Pyston 0.6.1」を公開した。同時に、DropboxによるPystonプロジェクトへの支援が終了することも明らかにした。
PystonはDropboxが2014年に発表したオープンソースのPython処理系。モダンなJITとLLVMを利用してより高速にPythonコードを実行させることを目指している。Pythonの標準実装(CPython)と互換性があり、CPython向けのC拡張モジュールも利用できる。
Pyston 0.6.1は、2016年11月に公開した0.6のポイントリリースとなる。本バージョンではメモリ利用の削減に取り組み、性能の改善を図った。またバイトコードも新しくなり、互換性に関連するものなど問題やバグが修正された。0.6.1ではCPythonランタイムが2.7.8になり、若干の最適化により性能を強化した。性能については、CPythonと比較してWebワークロードベンチーマークは48%高速で、標準的なPythonベンチーマークでは95%高速と報告している。
同時に報告されたDropboxによる支援打ち切りについては、時間をはじめとしたコストが主な理由だという。たとえば互換性分野やメモリ利用について、想像以上に時間を要したという。「個人的に、”コスト”の増加は典型的と言えるが、”メリット”の減少が大きな要因になっている」とプロジェクトの開発者はブログで記している。また、Dropbox社内でも、性能が要求されるコードでのPythonの利用そのものを中止し、Goなどほかの言語を採用していく方針になっているという。
Pystonの開発者はDropboxの支援によってフルタイムで開発に専念していたが、今回のDropboxによる支援打ち切りによってフルタイムの開発は行えなくなるとのこと。プロジェクトが今後どうなるかの詳細については未定とのことだが、開発者らはプロジェクトの継続を希望しており、少なくともオープンソースでの公開は継続されるとのこと。
Pyston
http://www.pyston.org/