「Xen Project Hypervisor 4.8」リリース、ARMサポートを強化

 The Xen Projectは12月7日、オープンソースの仮想化技術の最新版「Xen Project Hypervisor 4.8」を公開した。ARMサーバーサポート関連などで多数の機能強化が加わった。

 Xen Project Hypervisorは、ハードウェア仮想化のためのソフトウェア。元々はXenSourceを買収した米Citrixの下で進められていたが、2013年よりLinux Foundationの協業プロジェクトとして開発が進んでいる。ライセンスはGPLv2。

 Xen Project Hypervisor 4.8は、2012年秋に登場したバージョン4系の最新版。6月に公開されたバージョン4.7に続くリリースとなる。

 本バージョンではARMサーバーの対応が強化された。ARM DomU ACPIサポートにより、ARM Development Preview向けのRed Hat Enterprise Linux Serverなど、ACPI(Advanced Configuration and Power Interface)を持つARM64ゲストの構築をサポートした。ARM上で修正することなくXenを動かせるという。

 ライブパッチも初期サポートしたほか、プロセッサに支障のあるエラーの回避策を適用を利用できる代替パッチ機能もサポートした。ハードウェアではXilinx Zynq UltraScale+ MPSoCの対応も加わった。

 ハイパーバイザ全体でも強化が加わった。デフォルトのCreditスケジューラーに加えて、最新のCredit2をサポートした。Credit2はRTDSなどの特化型に比べると汎用向けで、拡張性に優れ、VDI、動画など遅延への許容度が狭いワークロード、ユニカーネルアプリケーションに適しているという。

 また、ドメイン作成に必要なTLB連想メモリの消去の回数を削減するなどの最適化により、ドメイン作成時間を大幅に短縮できるという。数分を要していた大規模なドメインの生成を秒単位に短縮できるとしている。

 セキュリティモジュールのXSM(Xen Security Modules)のリファクタリングとコードクリーンナップも進めた。また、ライブパッチでペイロードのフックセクションを参照し、コードを実行できるようになった。

 ツールスタックでは、hvmloaderのコードのうちゲストACPIテーブルを作成する部分をlibacpiとして分割し、x86とARMで共有できるようにした。ライセンスはGPLからLGPLに再ライセンスされた。またQEMUを利用することなくUSBデバイスとHVMゲストにパススルーできるようになったほか、libxlデバイス処理フレームワークなどlibxl関連も強化が加わっている。

 x86向けではCPUIDフォールトエミュレーション、PVCLOCK_TSC_STABLE_BITのサポートによるユーザー空間の性能改善、Intel AVX-512命令セットのサポートなどの強化が加わった。

 Xen Project HypervisorはプロジェクトのWebサイトより入手できる。開発チームは合わせて、6ヶ月のリリースサイクルを開始したことも明らかにした。

The Xen Project
https://www.xenproject.org/