Waylandがデフォルトとなった「Fedora 25」リリース

 The Fedora Projectは11月22日、Linuxディストリビューション「Fedora」の最新版「Fedora 25」をリリースした。デスクトップ版「Fedora 25 Workstation」、サーバー版「Fedora 25 Server」に加え、コンテナワークロードのホスト向けに最適化した「Fedora 25 Atomic Host」の3エディションが提供される。

 Fedora ProjectはRed Hatなどの支援を受けているプロジェクトで、最新機能をいち早く導入するのが特徴。Red HatのRet Hat Enterprise Linux(RHEL)向け技術を先行実装して試験的に提供する役割も果たしている。

 Fedora 25のWorkstation版ではデスクトップ環境として「GNOME 3.22」をサポートした。さらにX11に代わり、Waylandディスプレイサーバーをデフォルトでサポートする。

 WindowsとMac OS Xユーザーが容易に試せるように、USBメモリにディストリビューションを容易に保存できるメディタライター「Fedora Media Writer」も導入した。既存ユーザー向けにはFedora 24からのアップグレードパスを簡素化し、典型的なユーザーなら30分で完了するとしている。

 これまでサードパーティが提供する方法に依存していたMP3再生だが、Fedora 25ではmpeg 123ライブラリとGStreamerの統合によりMP3デコーディングのためのプラグインを含む。これによってMP3ファイルの再生が容易になった。

 開発者向けとしては、サンドボックス化されたアプリケーション実行環境「Flatpak」のサポートを強化し、Flatpak向けソフトウェアのインストール、更新、削除が容易に行えるようになった。また、GNOMEインターフェイスの安定性が保たれていることから、GNOME Shell拡張が互換性のためのチェックを行わなくなったという。

 各種ソフトウェアもアップデートされており、Docker 1.12やNode.js 6(LTS)が提供される。Pythonは2.6/2.7/3.3/3.4/3.5をサポートし、PyPy、PyPy3、Jythonも利用できる。PHP 7にも対応するほか、Mozillaが開発するプログラミング言語Rustのサポートも加わった。

 Server版ではRolekitによる柔軟性のある複数の役割が利用できるほか、Cockpit向けにSELinux Troubleshooterモジュールを導入、SELinuxのエラーに対して解決方法を提案するという。CockpitではSSH鍵が表示されるようになり、管理者がどの鍵がどのマシンに紐づいているのかを把握できるようになった。

 アイデンティティー管理のFreeIPAはバージョン4.4にアップグレードし、トポロジー管理、DNSサイト、Kerberos認証インジケーターなどの新機能を利用できる。

 今回Workstation/Server版とともに提供されることになったAtomic Hostは「Fedora Cloud」に代わるエディションとなる。コンテナベースのワークロードを作成・実装するホスト向けに最適化したもので、仮想マシンのスピンアップやベアメタル上のインストールといった用途向けに複数のフォーマットで提供される。最新機能をすぐに提供する目的で2週間のリリースサイクルをもち、メジャーリリースはFedoraと歩調を合わせる形を取るという。汎用目的のホスト上でワークロードの運用を望むユーザー向けにFedora Clud Baseイメージの提供も継続する。

 Fedora 25の各エディションはプロジェクトのWebサイトより入手できる。

The Fedora Project
https://getfedora.org/