「Fedora 24」が登場

 Fedora Projectは6月21日、オープンソースのLinuxディストリビューション「Fedora 24」をリリースした。WorkstationおよびServer、Cloudの3エディションに加えて、異なるデスクトップ環境やカスタムされたソフトウェアを提供する「Spins」や「Labs」エディションも用意されている。

 2015年11月に公開された「Fedora 23」に続く最新版。数回のリリース延期を経ての公開となった。Linuxカーネルはバージョン4.5を採用している。

 ワークステーション版「Fedora Workstation」では、3月にリリースされたGNOME 3.20の最新機能を利用できる。検索インターフェイスの改善、キーボードコマンドのショートカットウィンドウ、容易なデバイスとプリンタ設定などが提供され、使い勝手が改善しているという。

 また、Linux向けアプリケーション仮想化技術「Flatpak」(旧名称「xdg-app」)が加わった。ソフトウェアのインストールや管理を行う「Software」アプリケーションでインストールされたFlatpakを追跡して、後で機能を追加できるという。また、「Software」ではデスクトップから直接フルでシステムをアップグレードできる機能が加わり、利用できるソフトウェアのレビューとともにラベルを付けることができるようになった。

 X Window Systemの代替となるWaylandも改善された。Fedora 24のデフォルトではX .org X11がデフォルトとなっているが、Waylandもオプションで提供される。次期Fedora 25でデフォルトになる可能性があるとしている。

 これらに加えて、GNU C Library(glibc)はバージョン2.23に、GNU Compiler Collection(GCC)がバージョン6にアップデートされている。そのほかGolang 1.6、Ruby 2.3、Node.js 5.10、Python 3.5などが利用可能。

 サーバー版「Fedora Server」では、セキュリティ情報管理ソリューションのFreeIPA 4.3が大きな特徴となる。FreeIPA 4.3ではレプリカインストールが簡素化されるなどの機能が加わっている。このほか、合理化とモジュラー化も進めた。不要なパッケージを除去し、インストーラーも軽量になっている。

 パブリック/プライベードクラウド向けのイメージとして提供するクラウド版「Fedora Cloud」は、コンテナ化されたアプリケーション向けのプラットフォームとしての機能強化を図った。米Red HatのKubernetesを利用するPaaS「OpenShift Origin」を同梱、コンテナでのアプリケーションの構築、実装・管理が容易にできるという。

 これらに加えて、GNOME以外のデスクトップ環境を提供する「Fedora Spins」と「Fedora Labs」も用意する。SpinsではKDE Plasma、Xfce、LXDE、Mate-Compriz、Cinnamonなどを揃え、Labsはゲーム、ロボティクスなど特定用途向けのソフトウェアを揃える。Fedora 24では新たに天文(Astronomy)が加わった。また、ARMサーバー向けの「Fedora ARM」もある。ARM版ではSpinsやWorkstationなdのデスクトップイメージのほか、Serverイメージも提供する。

 Fedora 24のリリースにより、Fedora Projectが2週間サイクルでリリースするクラウド向けエディション「Fedora Atomic Host」もFedora 24をベースとする

 Fedora 24はプロジェクトのWebサイトより入手できる。Fedora 24では初めて、AArch64、Power64(ppc64、ppc64le)、s390xも同時にリリースする。

The Fedora Project
https://www.fedoraproject.org/