「GNOME 3.18」をサポートした「Fedora 23」登場
Fedora Projectは11月3日、Linuxディストリビューション「Fedora」の最新版「Fedora 23」を公開した。デスクトップ環境が「GNOME 3.18」にアップデートされたほか、新たに「Cinnamon」をデスクトップ環境として採用するバージョン「Fedora Cinnamon」も用意される。
5月末に公開された「Fedora 22」に続く最新版。ワークステーション版「Fedora Workstation」、サーバー版「Fedora Server」、クラウド版「Fedora Cloud」の3種類が公開された。Linuxカーネルはバージョン4.2を採用している。
Workstation版では、デスクトップ環境として9月に公開された「GNOME 3.18」が採用された。これにより、「Google Drive」との連携といったGNOME 3.18の新機能を利用できるようになった。
また、デバイスファームウェアのインストールを合理化・自動化する「Linux Vendor Firmware Service」を統合し、パッケージのアップデートのようにファームウェアをアップデートできるようになった。UEFIシステムファームウェアのアップデートについても強化されたが、こちらはまだ初期的段階とのことで、マザーボード側でUEFI 2.5以上のサポートが必要といった条件がある。
X11に代わるディスプレイサーバー「Wayland」のサポートを強化し、オプションでWaylandセッションを有効にできる。高DPIディスプレイ対応も可能になり、画面単位でDPIを設定できるという。
ソフトウェアについてもLibreOffice 5、Firefox 40、Thunderbird 38など最新のものにアップデートされた。開発者向けにはPython 3系やPerl 5.2.2、Mono 4.0などの最新言語環境が提供され、EclipseやGCCなどの開発ツールも新しくなっている。Unicode 8.0サポートも加わった。
セキュリティではSSL 3.0とRC4暗号化が無効となった。また、8月に公開されたOpenSSH 7.1もサポートした。さらにFedoraが含むカーネル、RPM、systemd、DNF、Anaondaなどのベースパッケージについては破損やバッファオーバフローなどを予防するために特別なフラグ設定を行ってビルドされているという。
Server版ではバージョン22で導入した「Rolekit」、それに遠隔からのアクセスのためのGUI「Cockpit」を通じてサービス管理を簡素化した。新たにKubernatesクラスタをCockpitの管理コンソールから制御したり、FreeIPAドメインコントローラーを起動できるようになった。
Cloud版では、最小限のOSプラットフォームを提供するFedora Cloud Baseイメージをダウンロードして「OpenStack」で利用したり、「Amazon EC2」から直接起動できるようになった。Docker向けに簡素化した「Atomic Host」も強化し、DockerコンテナとAtomic Appsを動かすためのシステムとして利用できる。
Workstation版とは異なる体験を提供するデスクトップエディションとして「Fedora Spins」も拡充した。KDEに対応する「Fedora KDE」、Xfceに対応する「Fedora Xfce」などに加えて、バージョン23ではCinnamonをサポートする「Fedora Cinnamon」が加わっている。
ソフトウェアについては、Fedora Communityメンバーがメンテナンスするソフトウェアコレクションの「Fedora Labs」を通じて、ゲーム、デザインなどにフォーカスしたライブメディアを入手できる。
The Fedora Project
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