米Microsoft、ES6サポートを強化した「TypeScript 1.5」リリース

 米Microsoftは7月20日、JavaScriptから派生したプログラミング言語「TypeScript 1.5」をリリースした。ECMAScript 6の機能サポートを強化するなど、大きな変更点が含まれるリリースとなっている。

 TypeScriptはMicrosoftが2012年秋に発表した新しいプログラミング言語。2014年春に初の正式版をリリースしている。JavaScriptに静的型付けなどの機能を追加したもので、付属する「tsc」コマンドを利用することで、JavaScriptコードに変換して利用できる。ライセンスはApache License 2.0。

 TypeScript 1.5は、1月に公開したTypeScript 1.4に続くリリースとなる。大きな特徴としてECMAScript 6(ES6)のサポートが強化された。モジュール、分解代入をはじめ、spread、for~of、symbolsなどのES6の機能が加わっている。ES6互換表を作成するKangaxの互換性テストでは、TypeScript 1.5と1.4を比較すると合格項目が倍増しているとのことで、「ES6のスーパーセットとなり、ES6の主要な機能向けに型チェックを提供するという目標に大きく近づいた」と記している。

 モジュール側でもES6の公式モジュールのサポートを実現した。ES6の新しいモジュールシンタックスもサポートし、外部モジュール同様、ES6モジュールはモジュールのインポートが可能で、外部向けにAPIをエクスポートできるという。

 これらに加え、TypeScript 1.5では次期ECMAScript 7(ES7)で提案されているDecorator機能のサポートも実験的に加わっている。Decoratorはクラスとメンバーにメタデータを紐付けできるもので、開発に加わっているAngularチームは次期版「Angular 2」でHTMLセレクタとテンプレートをクラスで直接定義するのにDecoratorを利用しているという。

 TypeScript 1.5はMicrosoftの最新開発環境「Visual Studio 2015」に含まれるほか、単体でもダウンロードできる。

TypeScript
http://www.typescriptlang.org/