印刷システムCUPSが15周年、最新版となる「CUPS 2.0」をリリース
UNIX系OS向けの印刷システム「CUPS(Common Unix Printing System)」プロジェクトは10月1日、最新版となる「CUPS 2.0」をリリースした。systemd対応のほか、セキュリティ関連機能の強化などが特徴となる。
CUPSはMac OS XやLinuxなどUNIX系OSで広く採用されている印刷システム。LPD(Line Printer Daemon)やInternet Printing Protocol(IPP)といったプロトコルに対応し、プリントジョブの管理やローカルおよびネットワークにあるプリンタでの印刷機能を提供する。2007年に米Appleがメイン開発者Michael Sweet氏を起用しCUPSのソースコードを購入、それ以来Appleの下でプロジェクトが運営されている。
CUPS 2.0は、2013年10月に公開されたCUPS 1.7以来のメジャーリリースとなる。なお、公開された10月1日は、最初の正式版(CUPS 1.0)のリリースからちょうど15周年にあたる日となった。Sweet氏は15年を迎えたメッセージとして、「無線ネットワークとモバイルコンピュータの時代であり、もう新たなプリンタドライバは不要だ。必要なのは標準プロトコルとフォーマットをサポートし、高品質のアウトプットが可能なプリンタだけだ」とし、「印刷はこれまで以上に特定の用途にフォーカスしたパーソナルなものになっていく」とその方向性を示している。
CUPS 2.0では、性能とセキュリティに注力しているという。systemdに対応したほか、TLS(Transport Layer Security)認証とポリシーのサポートが加わった。また、SSL実装ではGNU TLSのサポートによりOpenSSLサポートを廃止している。スケジューラではlppasswdに代わってDigest認証をサポートし、DDoS攻撃対策としてジョブ履歴データのキャッシュを増強してGet-Jobsが戻す完了ジョブの数を制限した。この他にも多数の細かな強化が加わっている。
正規表現を使ったMIMEタイプのマッチングが可能になり、またPDFなどの高レベルフォーマットでの印刷に失敗した場合はラスターファイルとしてジョブを再送する機能が加わった。ipptoolプログラムも強化されている。電源ステータスの管理といったOS Xに特化した機能も加わっている。一方で、AIX、HP-UX、OSF/1(Digital UNIX)のサポートはなくなった。
CUPS 2.0はプロジェクトのWebサイトより入手できる。