ARMプラットフォームをサポートした「Minix 3.3.0」登場
UNIX系OS「Minix」の開発チームは9月16日、最新版「Minix 3.3.0」をリリースした。プラットフォームとしてx86とARM Cortex A8をサポートし、ユーザーランドはNetBSDと互換性があるという。
Minixはアムステルダム・自由大学(VU)のAndrew Tanenbaum教授を中心としたチームで開発が進められているUNIX系のオープンソースOS。高い信頼性、柔軟性、安全性を特徴とする。MinixはLinuxの開発者であるLinus Torvalds氏がその開発方針において議論を起こし、これがLinuxを開発する契機となったことでも知られている。
Tanenbaum教授は2008年に欧州連合(EU)より250万ユーロの助成金を受けており、この資金を元に開発を進めてきた。3.3.0はその成果としている。先にリリースされていたMinix 1が教育を目的としたOSであったのに対し、助成金を受けたことで堅牢で商用利用にも耐え得るOSの開発にフォーカスを拡大したという。
Minix 3.3は2012年2月に公開された3.2に続くメジャーリリースとなる。軽量さが特徴で、そのソースコードは約1万2700行、カーネルは約600KBで、OSが使用するメモリ容量は25MBとのこと。カーネルモードで動作するのは割り込みやメッセージ処理を行うマイクロカーネルのみで、残りの部分は隔離され保護されたユーザーモードプロセスとして動く。デバイスドライバはMMUハードウェアで隔離されたユーザーモードプロセスとなり、ドライバがクラッシュするとシステムが自動的に再起動する自己修復機能も備える。このとき、動作中のアプリケーションはそれを感知することなくそのまま動くという。
ユーザーランドはNetBSDと互換があり、4200種以上のNetBSDパッケージが動くという。コンパイラはClang/LLVMおよびGCCが利用でき、言語はC/C++、clisp、mawk、Perl、Pythonなどをサポートする。クロスビルドツール「Minix3-x86] を利用してx86とARM向けのコンパイルもできるという。
MINIX 3.3はプロジェクトのWebサイトよりダウンロードできる。ライセンスはBSD License。ARMプラットフォームとしては「BeagleBoard XM」や「BeagleBone White/Black」で動作確認済みとのこと。
MINIX 3
http://www.minix3.org