ITインフラ自動化ツール「Chef 12」がリリース、オープンソース版と商用版でコードを統一化

 米Chef Software(旧社名:Opscode)は9月8日、ITインフラ設定管理ツール「Chef」の最新版「Chef 12」をリリースした。高可用性、レプリケーションなどの機能が加わり、WindowsやVMwareとの統合も強化した。Chefはまた、オープンソース版と商用版のコードベースを単一にしたことも発表した。

 Chefはサーバーの設定を自動化するツール。RubyとErlangで作成されており、米Facebook、米Splunkなど多数の導入実績を持つ。「インフラをコードに」を標榜しており、開発と運用を一体化して考える「DevOps」を実践するソフトウェアとして位置付けている。設定情報などを管理する「Chef Server」と設定対象サーバー側で処理を実行する「Chef Client」、開発キットなどで構成されており、Apache License 2で公開されているオープンソース版と商用版がある。

 Chef 12は、2013年2月に公開されたChef 11に続く最新版となる。機能面では、高可用性、レプリケーション、分析の3つの分野を大きく強化した。高可用性については前バージョンまではDRBD(Distributed Replicated Block Device)という共有のブロックデバイス技術を利用したベアメタルのみでの機能だったが、最新版ではクラウドでの利用を想定し、Chefサーバーのバックアップとして物理、仮想、クラウドベースのブロックデバイスをサポートする。まずはAmazon Web Services(AWS)をサポート、将来的にはRed Hat Cluster Managerなど他のクラウドもサポートする予定という。

 また、新たにレプリケーションアドオンを導入した。複数リージョンにまたがったChefサーバーの単一ビューを得られ、データセンターやクラウドにあるChefサーバー間のポリシーを非同期に複製できる。プライマリとレプリカのChefサーバーを設定し、レプリカが周期的にプライマリにあるコンテンツに変更がないかをチェックするという。

 分析関連機能では、Chefサーバーの活動を視覚的に把握できる分析プラットフォーム「Chef Analytics Platform」をマージした。コンテナワークフローの管理も特徴で、Chefクライアントにコンテナを統合し、コンテナリソースの管理が可能となった。サーバー側ではDockerコンテナの起動、設定、管理が可能なプラグイン「Knife」をリリースしている。

 これらに加えて、Windows PowerShell DSCとの統合により、DSCリソースをChefリソースとしてレシピを作成できるようになった。これによりChefを利用してWindowsコンポーネントを容易に管理できるようになり、クロスプラットフォームのIT自動化を実装できるという。VMwareとの統合も強化し、VMware vSphereおよびvCloud Airとの相互運用をサポートする。

 ビジネスモデル面でも変更があり、オープンソース版(「Chef Essentials」)と商用版(「Chef Enterprise」)を単一のコードベースに統一し、新たにフリーミアムサブスクリプションモデルを導入した。新たに導入された無料の「Chef Essentials」プランでは、25ノードまで(ホステッド版では5ノードまで)の設定管理が可能となっている。

 Chef 12はChefのWebサイトより入手できる。

米Chef Software
http://www.getchef.com/