SSDやioDriveといった高速ストレージの性能をチェック――はじめての「さくらの専用サーバ」(4)

図1 Fusion-ioの「ioDrive2」。PCI Express接続の拡張カード上にフラッシュメモリ素子が配置されている

 現在多くのサーバーではストレージとして安価かつ大容量なHDDが採用されているが、さくらの専用サーバでは、ストレージとしてSSDやフラッシュメモリベースの高速ストレージと「Fusion-io ioDrive」なども選択可能だ。今回はこれらストレージの特徴と、その性能についてチェックしていこう。

フラッシュメモリ系ストレージを導入しやく

 近年ではフラッシュメモリを使ったストレージであるSSDの普及が進んでいる。SSDはかつては容量が少なく、また価格も高かったが、最近では数百GB程度の容量であれば現実的な価格で入手できるようになり、また信頼性を高めたエンタープライズ向けのSSDも登場している。そのため、高性能なストレージを必要とするサーバーにおいても採用例が増えている。さくらの専用サーバではいち早くSSD搭載サーバーの提供を開始しており、信頼性と高速なアクセスで評価の高いIntel製のSSDをストレージとして利用可能になっている。

 また、フラッシュメモリ自体の高速化やメモリコントローラの高性能化により、広く使われているストレージインターフェイスであるSATAの転送速度上限を超える性能を持つストレージデバイスも実現可能となってきた。そのため、接続インターフェイスとしてより転送速度の高いPCI Expressを採用したストレージも登場しており、代表的なものとしてはIntelの「Intel 910シリーズ」や、Fusion-ioの「ioDrive」シリーズ」がある(図1)。さくらの専用サーバではこれらPCI Express接続のストレージもオプションで利用可能だ。

図1 Fusion-ioの「ioDrive2」。PCI Express接続の拡張カード上にフラッシュメモリ素子が配置されている
図1 Fusion-ioの「ioDrive2」。PCI Express接続の拡張カード上にフラッシュメモリ素子が配置されている

 SSDなどのフラッシュメモリベースのストレージはまだHDDと比べると記録容量は少なく単価も高いのだが、さくらの専用サーバでは180GB×2といった構成のSSDがHDDとさほど変わらない価格で利用でき、コストパフォーマンスが高い(表1)。

表1 さくらの専用サーバでのストレージ料金(エクスプレスG2シリーズの例)
サーバー構成月額料金
SATA HDD 1TB×2SAS HDD 600GB×2SSD Intel DC S3500 240GB×2SATA 1TB×2+Fusion-io ioDrive PCIe SSD 320GB
Fujitsu RX100 S7 Xeon 4Core 3.30GHz19,800円20,800円21,800円49,800円
Fujitsu RX200 S7 Xeon 8Core 2.60GHz27,800円28,800円30,800円57,800円
Fujitsu RX200 S7 Xeon 8Core 2.60GHz 2CPU37,800円 38,800円40,800円67,800円

さくらの専用サーバで利用できるSSD

 さくらの専用サーバでは、Intel製のSSDが提供されている。エクスプレスシリーズおよびエクスプレスG2シリーズでは「Intel DC S3500」の240GBモデルおよび480GBモデルが、フレックスシリーズでは「Inte 320」の120GBモデルおよび600GBモデルと「Intel 520」の240GBモデル、「Intel 710」の100GBモデルが選択できる。それぞれのスペックは表2のとおりだ。

表2 Intel製SSDのスペック
製品Intel DC S3500(240GB)Intel DC S3500(480GB)Intel 320(120GB)Intel 320(600GB)Intel 520(240GB)Intel 710(100GB)
シーケンシャル読み出し性能500MB/秒500MB/秒270MB/秒270MB/秒 550MB/秒 270MB/秒
シーケンシャル書き込み性能260MB/秒410MB/秒130MB/秒220MB/秒520MB/秒170MB/秒
ランダム4KB読み出し性能75,000IOPS75,000IOPS38,000IOPS39,500IOPS50,000IOPS38,500IOPS
ランダム4KB書き込み性能7,500IOPS11,000IOPS14,000IOPS23,000IOPS80,000IOPS2,300IOPS

 なお、ランダム読み出し/書き込み性能の単位となっているIOPS(Input/Output Per Second)は1秒当たりに実行できる読み書きの回数を示しており、たとえば4KBのランダム読み出し性能が50,000IOPSであれば、1秒間に4KBのデータ読み出しを5万回実行できる、という意味となる。

 SSDの特徴は、ランダムアクセス時に高いパフォーマンスが期待できる点だ。HDDの場合、データを読み出すためのヘッドを物理的に動かさなければならないため、どうしてもオーバーヘッドが発生する。近年のHDDでは記録密度が向上していることもあり、ヘッドの移動が少ないシーケンシャルアクセスの性能は向上しているが、ヘッドを大きく動かす必要があるランダムアクセスについてはパフォーマンス向上に限界がある。いっぽうSSDでは物理的な可動部分がないため、ランダムアクセス時でも高いパフォーマンスが期待できる。

より高いパフォーマンスを求めるならioDrive

 さくらの専用サーバで利用できるもう1つのストレージが、PCI Express接続のフラッシュメモリストレージだ。エクスプレスシリーズでは「Intel 910」(400GB)が、エクスプレスG2シリーズでは「Fusion-io ioDrive2」(365GB)が、フレックスシリーズでは「Fusion-io ioDrive」(320GB)と「Fusion-io ioDriveDuo」(640GB)が利用可能になっている。

 まずIntel 910だが、PCI Express接続の拡張カード上にSASインターフェイスとSAS接続のSSDが搭載されているというもので、OSからはSAS接続のドライブとして認識される。転送速度が高いPCI Expressで接続されることで、より高速なアクセスができるのが特徴だ。また、ioDriveもIntel 910と同様PCI Expressで接続されるストレージだが、こちらは専用のコントローラが採用されており、より性能が高いのが特徴だ。

 それぞれのスペックをまとめたのが表3だ。ioDriveは性能の表記方法がやや異なるので単純には比較できない点には注意したいが、IOPSの数値を見ると文字通り「桁違い」の数字が並んでいる。

表3 PCI Express接続フラッシュメモリストレージのスペック
製品Intel 910(400GB)Fusion-io ioDrive(320GB、MLC)Fusion-io ioDriveDuo(640GB、MLC)Fusion-io ioDrive2(365GB)
読み出し性能1000MB/秒735MB/秒1.5GB/秒910MB/秒
書き込み性能750MB/秒510MB/秒1.0GB/秒590MB/秒
ランダム512B読み出し性能137,000IOPS
ランダム512書き込み性能535,000IOPS
ランダム4KB読み出し性能90,000IOPS110,000IOPS
ランダム4KB書き込み性能38,000IOPS140,000IOPS
シーケンシャル512B読み出し性能100,000IOPS196,000IOPS
シーケンシャル512B書き込み性能141,000IOPS285,000IOPS

 また、利用料金は表4のとおりだ。数百GBのストレージで数万円、という料金は高いようにも見えるが、ioDriveの販売価格が数十万円から100万円以上ということを考慮すると、月額数万円で利用できるというのはリーズナブルな設定ではないだろうか。

表4 PCI Express接続ストレージの利用料金
製品利用できるシリーズ初期費用月額料金
Intel 910(400GB)エクスプレス18万円0円
Fusion-io ioDrive2(365GB)エクスプレスG20円3万1,500円
Fusion-io ioDrive(320GB、MLC)フレックス0円3万1,500円
Fusion-io ioDriveDuo(640GB、MLC)フレックス0円6万3,000円