RHEL 7がついにリリース、XFSがデフォルトのファイルシステムに

 米Red Hatは6月10日、Linuxディストリビューション「Red Hat Enterprise Linux(RHEL)」の最新版「Red Hat Enterprise Linux 7」の一般公開版(GA)を発表した。デフォルトのファイルシステムがXFSに変更されたほか、Linuxコンテナの強化など多数の新機能が加わっている。

 2010年秋に公開されたRHEL 6以来のメジャーアップデートとなり、約6か月間のベータ期間を経てのリリースとなる。Red Hatによると、ベアメタルサーバーや仮想マシン、IaaS、PaaSなどが堅牢で高性能なデータセンター環境に統合されつつある背景を踏まえ、クラウド、Linuxコンテナ、ビックデータといった現在と将来のニーズを見据えて開発したという。対応アーキテクチャは64ビット版AMDおよびIntel CPU(いわゆる「x86_64」)とIBM POWER 7、IBM System z。

 Linuxカーネルはバージョン3.10を採用し、スワップメモリを圧縮する「zswap」などの技術が利用可能になっている。また、動的にカーネルにパッチを適用する「kpatch」も技術プレビューとして導入されている。

 RHEL 7での大きな変更点として、システム起動処理およびサービス管理においてSysV init/Upstartに代わってsystemdが採用された点がある。起動時間を短縮できるほか、リソース制御システム「cgroup」と密に連携し、プロセス、サービス、セキュリティなどの管理をモダン化するという。

 また、デフォルトのファイルシステムがExt4からXFSに変更され、最大容量は500TBに拡大した。Ext4も引き続き利用でき、こちらも最大容量が50TBと拡大されている。デフォルトではないがBtrfsもサポートされている。

 グラフィカルインストーラも刷新され、従来のウィザード形式からコントロールパネル風のものに変更された。これによってより分かりやすく、かつ迅速にインストールが可能になっているという。

 ネットワーク関連では、ネットワーク管理・設定ツール「NetworkManager」が大幅に強化されたほか、新たにパケットフィルタ「firewalld」が搭載された。DDoS対策機能や40Gigabit NICのサポート、WiGigサポートなども行われている。

 開発関連ではGCC 4.8系が導入された。glibcのバージョンは2.17。また、Ruby 2.0.0やPython 2.7.5、Java 7といった言語環境も提供される。WebサーバーにはApache HTTP Server 2.4を採用、デフォルトのデータベースシステムとしてはMariaDB 5.5およびPostgreSQL 9.2がサポートされる。また、デスクトップ環境としてはGNOME 3およびKDE 4.10が提供される。

 LXC(Linux Container)の対応も強化され、LXCベースのDockerサポートを強化した(Dockerは6系よりサポートされている)。アプリケーション関連では安全性も強化し、プラットフォームとコンテナの両方に安全なアプリケーションランタイム、開発、配信、トラブルシューティングなどのツールや技術を組み込んだ。アプリケーションの隔離機能も強化した。

 Windowsとの相互運用では、SSSD(System Security Services Daemon)によりCross-Realm Trustを実現、RHELとWindowsの両ドメイン間での「Microsoft Active Directory」運用がさらに改善するという。

 システム管理フレームワークには業界標準の「OpenLMI」を導入、エージェントを利用してマシンの管理やシステム設定を合理化できるという。

 このほか性能やインストールおよび設定といった管理機能なども改善されている。特に性能では、リアルタイム情報に基づいて性能をチューニングできるモニタリングシステムPCP(Performance Co-Pilot)を導入した。6系で導入したパフォーマンスのプロファイルも強化している。

 RHEL 7のサポート期間は10年間で、その後限定的なサポートのみが利用できる3年間の拡張サポートも提供される。

米Red Hat
http://www.redhat.com/