「QEMU 1.7」リリース、USB 3.0やオーディオを強化

 11月29日、オープンソースのエミュレータ「QEMU 1.7.0」がリリースされた。オーディオの強化やUSB 3.0サポートの強化が加わっている。

 QEMUはプロセッサやPCハードウェアをエミュレートするエミュレータ。動的なコード変換技術を利用することで高い性能を実現するという。ホストとなるアーキテクチャと異なるアーキテクチャのエミュレートだけでなく、同一のアーキテクチャをエミュレートすることも可能。この機能はKVMやXenといった仮想化技術でも利用されており、この場合ホストCPU上で直接ゲストコードを実行できるため、ネイティブに近い性能を得られるという。

 QEMU 1.7では、オーディオやデバイスの割り当てといった機能が強化されている。オーディオ関連では従来はオプション設定が必要だったHDAデバイスエミュレーションにおけるミキサーサポートがデフォルトで含まれるようになったほか、/deb/dspデバイスが存在しない環境でも正常に動作するよう改善が加えられている。

 デバイス割り当てでは、VFIO(Virtual Function I/O)で割り当てデバイスのリセット時の信頼性を改善するなどの強化が加わった。USB 3.0の性能や機能改善も行われている。そのほか、ブロックデバイスとしてLSI 53C810 SCSI HBAのサポートが加わった。

 x86固有の機能としては、1TB以上のRAMをサポートするようになった点がある。ただし、ファームウェアは現状まだこれをサポートしていないという。Xen HVMドメインのS3ステートからのリジュームや、QEMUからのACPIテーブルの生成もサポートされた。これにより、今後のリリースではSeaBIOS、OVMFなどのファームウェアコンポーネントを修正することなしに新機能を有効にできるという。PowerPCでは、dump-guest-memoryコマンドのサポートも加わっている。

 ユーザーモードエミュレーションで、AArch64バイナリのサポートが加わった。このほかにも多数機能が強化されている。

QEMU
http://www.qemu.org/