「Python 3.4」リリース、標準ライブラリを強化

 Python開発チームは3月16日、Python 3系で最新の安定版となる「Python 3.4.0」を公開した。新しいライブラリモジュールの導入など多数の新機能が追加されている。

 Python 3.4.0は2012年9月に公開された3.3.0以来のPython 3系メジャーリリースとなる。Pythonはバージョン2系と3系があり、バージョン3系ではバージョン2系との一部互換性を排除して新機能の追加や仕様および文法などの整理が行われている。2系の最新安定版はバージョン2.7.6。

 Python 3.4では文法面での変更はないが、新たにpathlibやenum、statistics、tracemalloc、asyncioといったモジュールが標準ライブラリに加わった。pathlibはオブジェクト指向のファイルシステムパス処理モジュールで、パス操作やファイル操作を統合したものになる。enumはPythonにおいて列挙型を扱うためのモジュール、statisticsは統計関数を提供するモジュール。tracemallocはPythonが割り当てたメモリブロックを追跡するためのデバッグツールで、ファイル名や行番号単位でのメモリブロックの容量などの統計を得ることもできる。また、asyncioは非同期I/Oを扱うためのフレームワークとなる。

 そのほかの機能強化としては、Pythonの組み込み関数に関する分析情報を得るため機構の実装やオブジェクトを安全にファイナライズするための改善、ジェネリックプログラミングを支援するためのfunctoolsモジュールの改善、独自のメモリアロケータ実装のための新APIの提供、サブプロセスにおけるファイルディスクリプタの扱いの変更、モジュールインポート機構向けのモジュールのメタデータ情報を標準化する「ModuleSpec型」の導入、パッケージマネージャ「pip」のインストーラの統合、文字列やバイナリデータ向けの新しいハッシュアルゴリズムの導入、データ保存フォーマットPickleの改良などが挙げられている。

 そのほか、コマンドラインでは「隔離モード」でPythonを実行する-Iオプションが実装された。隔離モードでは、モジュール探索パスから実行するスクリプトが含まれるディレクトリやユーザーのsite-opackagesディレクトリ、環境変数で指定されたディレクトリなどが除外された状態でスクリプトが実行される。これにより、実行時のユーザーの環境に左右されずにスクリプトを実行できるとのことで、システム関連のスクリプトを実行する際などに有用だとしている。また、入出力されるデータを自動的に変換するcodecs機構の改良や、emailモジュールでのcontentmanagerサブモジュールおよびMIME処理を簡素化するMessageサブクラスの追加なども行われた。多数のバグも修正され、安定性も強化された。

Python Software Foundation
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