Linuxカーネル3.13リリース、nftablesやブロックデバイスレイヤーの改良などが特徴

 Linus Torvalds氏は1月19日、「Linuxカーネル3.13」をリリースした。大きな変更点としてはパケットフィルタリング機能「iptables」の後継となる「nftables」のマージや、SSDなどの高速デバイスを考慮したスケーラブルなブロックデバイスレイヤーの導入などが挙げられる。

 11月初めに公開されたバージョン3.12から約11週間での新バージョン公開となり、初回のリリース候補(RC)版が11月末に公開されて以来、合計8回のRCリリースを経て正式版がリリースされた、Torvalds氏によると、「旅行があったためにリリースが1週間遅れた」という。

 今回のリリースにおける重要な変更点としては、まずSSDを視野にいれたスケーラブルなブロックデバイスレイヤーの導入が挙げられている。I/O受付のためのCPU単位でのキューとハードウェア向けのキューという2レベルでのキュー構造を持ち、1:1またはN:Mでマッピングが可能。これによりSSDの性能を改善するという。

 また、新たに統合されたnftablesはiptablesの後継として開発されたパケットフィルタリングフレームワークで、Berkeley Packet Filter(BPF)のpseudo-virtual machineに着想を得たシンプルな機能が特徴。iptablesではコードと設計の両方で制限があったといい、これらの問題を解決できるという。nftablesはiptablesとの後方互換性も維持されており、iptables向けのフィルタリングルールをnftables向けに変換するツールも提供される。

 このほか、AMD Radeonの電力管理機能がデフォルトで有効となり、デュアルGPU搭載ノートPCでの自動GPU切り替えを可能にするインフラストラクチャも加わった。デバイスの電源消費量に上限を指定するためのフレームワークも新たに提供される。IntelのMany Integrated Coreアーキテクチャもサポートされたた。

  ネットワーク関連では新たなソケットオプションSO_MAX_PACING_RATEの導入や、3.6でマージ済みのTCP Fast Openのデフォルト有効化、イーサネット向けの冗長化プロトコルであるHigh-availability Seamless Redundancy(HSR)のサポートといった改良が行われている。また、セキュアエレメントのサポートも追加された。APIを利用して、セキュアエレメントを含むNFC(組み込みまたはUICC)の有効化や無効化が可能という。NUMAシステムでの性能改善、読み込み専用ファイルシステムSquashFSの性能改善といった性能面での改良も行われている。

 Linuxカーネル3.13のソースコードはkernel.orgなどのミラーサイトから入手できる。ライセンスはGPLv2。

kernel.org
https://www.kernel.org/