安定性を強化、64ビットARMに対応した「openSUSE 13.1」が登場

 openSUSE開発チームは11月19日、Linuxディストリビューション「openSUSE 13.1」を公開した。安定性の強化や「OpenStack Havana」対応、64ビットARM(AArch64)サポート、btrfsの強化、Waylandの実験的サポートなどさまざまな新機能が加わっている。

 openSUSEは8か月おきのリリースを目標にしており、今年3月のopenSUSE 12.3のリリース後、ほぼスケジュールどおりの新版リリースとなる。Linuxカーネルは9月に公開されたバージョン3.11をベースとし、約6000のパッケージが提供される。

 openSUSE 13.1ではクラウド関連の機能が強化されており、クラウドインフラストラクチャ「OpenStack」は最新版である「Havana(OpenStack 2013.2)」をサポート、Amazon S3をローカルのファイルシステムとしてマウントできるFUSEファイルシステムのs3fsも導入された。データベースはMySQL Community Serverが新バージョンにアップデートされており、MySQLとMariaDBのデフォルト設定も改善した。仮想化も強化している。

 開発者向けの主要な変更点としては、Qt 5.1.1やGCC 4.8へのアップデートなどが挙げられる。これにより、開発者はQMLやC++11の機能を利用できるようになった。Qtは4.8.5も含まれる。glibcもアップデートされ、AArch64、Intel TSXロック、C11などに対応した。そのほか、Ruby on Rails 4、Ruby 2.0、PHP 5.4.20、SDL 2、Go 1.1などもサポートされる。

 インストール/システム管理ツールのYaSTはバージョン3.0となった。本バージョンでは新たにRubyでの実装が行われている。また、Freetype 2.5の新しいフォントエンジンによりヒンティング処理も改善されているという。そのほか、GNOMEとKDEでWaylandを実験的にサポートするようになったほか、MESAでのVDPAUサポートにより動画処理の性能が改善している。また、ファイルシステムではSSD向けのf2fsサポートなども加わっている。

 デスクトップはKDE(KDE 4.11)とGNOME(3.10.1)の両エディションを用意、「LibreOffice 4.1」「Calligra 2.7」「Krita」などさまざまなアプリケーションを含む。

 初サポートとなるAArch64など5種類のCPUアーキテクチャに対応、32ビットARM対応も強化し、Raspberry Piビルドも用意する。

 なお、本バージョンではテスト環境「openQA」の改善や、オンラインでグローバルに展開したバグ修正イベント(Hackaton)などを通じて新機能のテストや安定性を強化したという。これにより実験的位置づけのbtrfsファイルシステムは運用環境で利用できるレベルになったと報告している。

 openSUSE 13.1はプロジェクトのWebサイトより入手できる。サポート期間は、2リリースサイクルとその2か月後までだが、有志によるサポートプロジェクトopenSUSE Evergreenチームがその後18か月のサポートを行う計画を発表しており、これを含むとサポート期間は3年間になるという。

openSUSE.org
http://www.opensuse.org/