OggやFLACのXiph.orgが新しい動画コーデック「Daala」プロジェクトを発表

 Xiph.org Foundationは6月20日、新しい動画コーデック「Daala」を開発していることを発表した。「VP9」や「HEVC」(H.265)といった「次世代動画コーデック」といわれる技術をさらに進めるもので、「Lapped Transforms」と呼ばれる符号化技術を採用しているのが特徴。

 DaalaはVorbisやOggコンテナの開発を行う非営利団体であるXiph.org内で以前から開発されてきた動画コーデックで、音声圧縮フォーマット「Opus」の開発作業が最終段階に達したことから、現在優先的に開発が進められているという。まだアルファ前の段階というが、5月30日、内部で開発したプロトタイプを使って動画のエンコードとデコードを行い、インターネット上でのストリーミングに成功したと報告している。

 Xiph.orgによると、Daalaは汎用の動画コーデックを目指しており、次世代動画コーデックであるVP9やHEVCを上回るレベルの性能を目標としているという。VP9やHEVCとの大きな違いとして挙げているのは、VP9などが離散コサイン変換(DCT)技術を用い、20年以上前に規格化されたH.261の延長線上にあるのに対し、Daalaでは「Lapped Transforms(重複変換)」と呼ばれる符号化技術を採用している点だ。DCTで符号化を行う場合、ピクセルを4×4や8×8、16×16といったブロック単位で処理するためにブロック間にエッジが発生しやすい。これをスムーズにするためにデブロッキングフィルタが必要だが、Lapped Transformsを利用すればこのようなフィルタが不要となるという。また、特許問題も回避できるとのこと。Lapped TransofrmsはMP3、Opusなどの音声コーデックでも利用されている。

 Daalaの詳細やドキュメンテーションはプロジェクトのWebサイトに公開されている。具体的なリリース計画は公開されていないが、Daalaはライセンスフリーで公開する予定という。

Daala
https://www.xiph.org/daala/

Xiph.org Foundation
http://xiph.org/