性能を改善したオープンソースのエミュレータ「QEMU 1.4」が公開
オープンソースのエミュレータ「QEMU」の開発チームは2月16日、最新版となる「QEMU 1.4.0」を公開した。全体として性能改善にフォーカスを置いたリリースとなる。
QEMUはさまざまなCPUやコンピュータ環境をエミュレートできる汎用のエミュレータ。ライセンスはGPLv2。x86環境で非x86向けのコードを実行させられるほか、XenやKVMを利用した仮想化もサポートしており、x86環境上で別のx86向けOS環境を実行する、といったエミュレーションも可能。この場合エミュレーションする環境のコードは変換なしに直接実行され、ネイティブに近い性能が得られるという。
QEMU 1.4.0は2012年12月に公開されたバージョン1.3以来のリリースとなり、これまでで最短のリリースサイクルと報告している。合計で116人の開発者により約1400の変更が加わったという。
QEMU 1.4.0ではVFIO(Virtual Function I/O)でPCI Expressの拡張設定空間(extended configuration space)サポートが追加されたほか、MSI-Xサポートも改善された。また、USB 2.0での使用CPUリソースやスループットも改善されたほか、USBシリアルデバイスのパススルーサポートも改善した。また、USBタブレットをUSB 2.0デバイスとして認識できるようになっているという。ネットワークでは、virtio-netでマルチキューオペレーションをサポートした。
ブロックデバイスではXFSを除くファイルシステムにおいてTRIM/DISCARDコマンドサポートが追加された。また、ブロックデバイスのミラーリング性能も大きく改善されているという。新たな実験的試みとして、virtio-block-pciでのスレッドバックエンド導入も行われている。これにより、既存のvirtio-blk実装と比較してIOPSが数倍高速になるという。現時点ではRAWイメージファイルのみで利用でき、ライブスナップショットやストレージマイグレーション機能については無効にされているとのこと。ライブマイグレーションも、タイマーベースからスレッドベースへの移行が行われており、遅延が改善されているという。
各CPUのエミュレーション機能も改善されているほか、x86システムのエミュレーションではQ35チップセットエミュレーションで多数の改善が加えられているとのこと。
QEMU 1.4のソースコードはプロジェクトのWebサイトよりダウンロードできる。
QEMU
http://www.qemu.org/