UNIX/Linux目線のWindows Azure入門ガイド 2ページ

Windows Azureの利用に必要な環境を構築する

 Windows Azureを使ったサイト構築に必要な環境についても説明しておこう。先に述べたとおり、Windows Azureを利用するにはWindows Asure SDKが必要だ。また、今回はデプロイに必要な各種作業を自動化するため、統合開発環境であるVisual Web Developerを利用する。これはVisual Studioに含まれているが、無償で配布されているVisual Web Developer Express 2010 SP1を利用することもできる。

 これら必要なソフトウェアはMicrosoftが配布している「Web Platform Installer(Web PI)」というツールを利用することで、一括してインストールできる(図3)。

図3 Microsoftが配布している「Web Platform Installer(Web PI)」
図3 Microsoftが配布している「Web Platform Installer(Web PI)」

 Web PIの起動直後は「おすすめ」のパッケージが表示されているが、「プロダクト」をクリックすると開発ツールやテンプレートなどのソフトウェアが、「アプリケーション」をクリックするとWebアプリケーションが一覧表示される。ここでウィンドウ右上の検索ボックスに文字列を入力すれば、候補を絞り込める(図4

図4 「プロダクト」をクリックすると開発ツールなどが表示される
図4 「プロダクト」をクリックすると開発ツールなどが表示される

 Windows Azureの開発に必要なのは下記のパッケージだ。

  • Windows Azure SDK for .NET
  • Visual Web Developer Express 2010 SP1(Visual Studio 2010がない場合)
  • Windows Azure Tools言語パック

 「Windows Azure Tools言語パック」は必須ではないが、これを導入することで各種UIが日本語化されるので、インストールすることをおすすめする。これらを選択して「追加」をクリックし、最後に「インストール」をクリックすると、必要なコンポーネントのダウンロードとインストールが行われる。

Windows Azure 3か月無料評価版を申し込む

 作成したWindows Azureアプリケーションをクラウド環境で稼働させるには、Windows Azureのアカウントが必要となる。Windows Azureは利用した分だけ料金を支払う従量課金制だが、現在は90日間無料で一定量のリソースを利用できる無料評価版が用意されている(無料評価版申込みページ)。まずはこちらを利用するとよいだろう(図5)。

図5 90日間無料で利用できる評価版アカウントが用意されている
図5 90日間無料で利用できる評価版アカウントが用意されている

 なお、無料評価版の申込みにはWindows Live IDが必要だ。ここで登録したIDはWindows Azureの管理ポータルへのログインにも使われるので、新規作成する場合はIDやパスワードを忘れないようにしてほしい。

 Windows Azureのアカウントを作成すると、Windows Azureの管理コンソール(windows.azure.com)にアクセスできるようになる。管理コンソールにはさまざまな項目が用意されており、画面左下のメニューから確認/操作したい項目を選択すると右上にその項目に属するメニューが表示され、右ペインに情報やプロパティが表示される仕組みだ(図6)。

図6 Windows Azureの管理コンソール
図6 Windows Azureの管理コンソール

 管理コンソールについては後述するが、頻繁に利用すると思われるのはのは「ホステッドサービス、ストレージアカウント、CDN」および「データベース」の項目だろう。「ホステッドサービス、ストレージアカウント、CDN」では現在稼働しているインスタンスやWindows Azureストレージに関する操作を行える(図7)。また、「データベース」ではSQL Azure関連の操作を行える。

図7 「ホステッドサービス、ストレージアカウント、CDN」では稼働しているインスタンスの情報表示や、インスタンスの起動/停止/再起動/初期化といった操作を行える
図7 「ホステッドサービス、ストレージアカウント、CDN」では稼働しているインスタンスの情報表示や、インスタンスの起動/停止/再起動/初期化といった操作を行える

用意しておくと便利なソフトウェア

 以上に加え、必須ではないが用意しておくと便利なツールも紹介しておこう。

 1つ目は、「リモートデスクトップ接続」だ。Windows Azureでは起動したインスタンスに対し、リモートデスクトップで接続して設定を変更したり、デバッグを行うことができる(図8)。LinuxベースのレンタルサーバーではSSHなどでサーバーに接続するが、リモートデスクトップはこれの代替となるもので、本番環境におけるデバッグにはほぼ必須であるといえよう。

図8 Windows Azureのインスタンスにはリモートデスクトップでアクセスできる
図8 Windows Azureのインスタンスにはリモートデスクトップでアクセスできる

 リモートデスクトップ接続はWindows XP以降のWindowsには標準でインストールされている。スタートメニューの「アクセサリ」−「リモートデスクトップ接続」から起動できる。

 2つ目は、Windows Azureストレージにアクセスできるツールだ。Windows Azureストレージアカウントの作成や削除といった操作については管理コンソールから行えるが、格納されているデータの確認や操作については別途クライアントが必要となる。Windows向けの代表的なものとしては「Azure Storage Explorer」がある(図9)。

図9 Windows Azureストレージにアクセスできる「Azure Storage Explorer」
図9 Windows Azureストレージにアクセスできる「Azure Storage Explorer」

 それ以外にもいくつかフリーのものや商用のものが公開されているので、探してみると良いだろう。

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