hostsファイルをクリック1つで変更できる「Hosts Manager」

 Windowsでは「hosts」と呼ばれるファイルを修正することで、手動でホストとIPアドレスの対応付けを行うことができる。しかし、短期間のテスト目的などで頻繁にhostsファイルを修正するのは非常に面倒くさい。このようなhostsファイルの書き換えを支援するGUIツールが「Hosts Manager」だ。

 hostsファイルは「<システムドライブ>\Windows\System32\drivers\etc」というフォルダ内に格納されている。このファイルの所有者は「SYSTEM」となっており、Windows Vista/7のUAC(ユーザーアカウント制御)が有効の場合、編集する際には管理者権限で起動したエディタでファイルを開かなければならない。また、DNSのキャッシュが行われている場合は、hostsファイルの編集後にキャッシュの破棄を行う必要がある。Hosts Managerではあらかじめ設定しておいた複数のhostsファイルをクリック1つで切り替えられ、キャッシュの破棄も行ってくれる。

 Hosts Managerは通知領域に常駐するツールではあるが、動作はとても軽い。このためPCに負荷がかかることはまずないといってよい。また、切り替え可能なhostsファイルの数に制限はないので、複数のプロジェクトを担当している場合には特に役立つだろう(図1)。

図1 Hosts Managerはhostsを手軽に切り替えるための常駐ツールだ
図1 Hosts Managerはhostsを手軽に切り替えるための常駐ツールだ

Hosts Managerのインストール

 Hosts Managerの動作には「.NET Framework 3.5」が必要だ。Windows 7には標準で付属しているが、Vista以前の場合はマイクロソフトのダウンロードセンターか、Windows Updateから必ず導入しておこう(図3)。

図2 「ダウンロード」をクリックして.NET Framework 3.5を入手し、インストールしておく
図2 「ダウンロード」をクリックして.NET Framework 3.5を入手し、インストールしておく

 Hosts Managerはダウンロードページから入手できる。入手するにはWindowsのマークとともに「DL」と書かれたリンクをクリックすればよい。ファイルは1つしかないので迷うことはないはずだ(図3)。

図3 「DL」をクリックするとHosts Managerを入手可能だ
図3 「DL」をクリックするとHosts Managerを入手可能だ

 Hosts Managerのインストーラは.msi形式のWindows Installerとなっている。特に設定項目もないので、インストーラをダブルクリックで実行したら「Next」を1回クリックするだけでインストールが行われる(図4)。

図4 インストーラを実行し「Next」をクリックするとインストールできる
図4 インストーラを実行し「Next」をクリックするとインストールできる

Hosts Managerでhostsファイルを切り替える

 Hosts Managerはスタートメニューの「すべてのプログラム」から起動できる。UACが有効の場合は確認画面が表示されるので、「続行」または「許可」をクリックして権限を昇格させる(図5)。

図5 スタートメニューからHosts Managerを起動し、UACの確認画面で権限を昇格させる
図5 スタートメニューからHosts Managerを起動し、UACの確認画面で権限を昇格させる

 Hosts Managerが起動するとhostsファイルがバックアップされ、通知領域にアイコンが表示される。アイコンを右クリックし、コンテキストメニューから「New」を選択しよう(図6)。

図6 通知領域の「H」アイコンを右クリックし「New」を選ぶ
図6 通知領域の「H」アイコンを右クリックし「New」を選ぶ

 作成するhostsファイルの設定名を入力し「OK」をクリックする。「検証用」や「開発機」など分かりやすい名前をつけておくとよい。複数のプロジェクトで使う場合はプロジェクト名を入力するとよいだろう(図7)。

図7 hostsファイルの設定名を任意の名前で入力
図7 hostsファイルの設定名を任意の名前で入力

 「設定名.hosts」という名前のファイルが.hosts形式に関連付けられたプログラムで開く。通常は関連付けられていないので「このファイルを開けません」というダイアログが表示されるはずだ。「インストールされたプログラムの一覧からプログラムを選択する」を選び「OK」をクリックする(図8)。

図8 この画面が表示されたら下のラジオボタンを選ぶ
図8 この画面が表示されたら下のラジオボタンを選ぶ

 プログラムの一覧が表示される。hostsファイルを編集するためのエディタを選択して「OK」をクリックしよう。よく分からない場合はメモ帳を選んでおくとよい(図9)。

図9 プログラム一覧から任意のエディタを選んで「OK」をクリックする
図9 プログラム一覧から任意のエディタを選んで「OK」をクリックする

 選択したエディタでhostsの設定ファイルが開く。最下段に「アクセスしたいマシンのIPアドレス」「半角スペース」「ブラウザに入力するホスト名」と入力する。入力が終わったらファイルを上書き保存してエディタを閉じておく(図10)。

図10 設定ファイルが開くのでIPアドレスとホスト名を入力しよう
図10 設定ファイルが開くのでIPアドレスとホスト名を入力しよう

 通知領域のアイコンを右クリックすると、先ほど作成した設定名の項目がコンテキストメニューに追加されている。実際にhostsファイルの書き換えを行うには追加された項目を選択しよう。書き換え時には同時に「ipconfig /flushdns」コマンドが実行され、DNSキャッシュの破棄が行われるため、コマンドプロンプトが一瞬だけ表示される。元に戻すには「Default」を選択すればよい。なお、使用しているセキュリティソフトによっては、項目を選択したときに警告が表示されたりエラーが出る場合がある。原因はhostsファイルの書き換えが、マルウェアの不審な動作と誤認識されることだ。Hosts Managerに危険性はないので、動作を許可するように設定するとよい(図11)。

図11 作成した設定名の項目をコンテキストメニューから選ぶとhostsを書き換えられる
図11 作成した設定名の項目をコンテキストメニューから選ぶとhostsを書き換えられる

 コンテキストメニューの「Edit/Delete」を選択すると「Edit/delete hosts files」というウインドウが表示される。プルダウンメニューから設定名を選択し「Edit」「Delete」をクリックすると編集や削除が可能だ(図12)。

図12 「Edit/Delete」を選ぶと不要な項目を削除したり、設定内容を修正したりできる
図12 「Edit/Delete」を選ぶと不要な項目を削除したり、設定内容を修正したりできる

今回紹介したツール:Hosts Manager