glibc、正式にフリーソフトウェアに

 米Sun Microsystems(米Oracle)が1980年代に開発したリモートプロシージャコール(RPC)実装である「Sun RPC」のライセンスが変更されたことで、Sun RPCのコードを利用するglibcが晴れてフリーソフトウェアとなった。元Sunの最高オープンソース責任者のSimon Phipps氏(現在、Open Source Initiativeのディレクター)や米Red Hatの開発者が8月26日に明かした。

 SunがUNIX向けのRPCライブラリとしてSun RPCを作成したのは1985年にさかのぼる。当時まだOSI(Open Source Initiative)によるオープンソース定義やFree Software Foundation(FSF)によるフリーソフトウェアの定義はなく、Sunは独自にライセンス規定を設けた。このライセンスは制限が緩く、複製や改変を認めていたが、配布に制限を設けていた。それでもRPCは採用が進み、UNIXのNFSが利用、Linuxにもポーティングされ、glibcにも加わった。

 だがglibcの開発を中心となって進めているRed Hatの開発者やDebianコミュニティはSun RPCライセンスを問題としてSunに変更を求め、Sunで当時オープンソース戦略を統括していたPhipps氏も合意し、取り組みを約束していた。その結果、Sunは2009年、Red Hatが要求した特定部分の再ライセンスを許した。だが、これでは十分ではなく、その後Sunが米Oracleに買収されることとなり、作業が滞っていた。今回、OracleのWim Coekaerts氏が8月18日、3-clause BSD license(3条項BSDライセンス)の下で残りについても再ライセンスを認めたという。

 問題のコードは、Debian GNU/LinuxやFedoraなど多くのUNIX系OSで利用されていることから、Phipps氏は「GNU/Linuxはやっとフリーソフトになった」と述べている。

米Oracle
http://www.oracle.com/

GNU C Library
http://www.gnu.org/software/libc/libc.html