ゲームに特化したLiveDVD Linux「SuperGamer」

 今回紹介するSuperGamerは、その名のとおりゲームに特化したLinuxディストリビューションだ。Linuxで動作するゲームを多数収録したライブDVDとして提供されている。最新版は2009年7月23日にリリースされた「Supreme SuperGamer」である。

VectorLinuxベースの1 DVD Linux、メディアには2層DVDが必要

 Supreme SuperGamerのISOイメージは、BitTorrent(ダウンロード用torentファイル)でダウンロードできる。ゲームやそのほかアプリをてんこ盛りにしているだけあって、約7.76Gバイトと一般的なLinuxディストリビューションと比べかなりのサイズである。そのため、メディアとしては2層DVD-W、およびそれに対応したDVDドライブが必要となる。また、On-Disk.comからメディアを購入することも可能だ。

 Super GamerはかつてはPCLinuxOSをベースにしていたが、最近のバージョンではVectorLinuxをベースにしている。このVectorLinuxはSlackwareをベースとしたディストリビューションで、日本ではそれほどの知名度はないものの、海外では比較的軽量かつ高速なデスクトップ用Linuxとして安定した人気がある。パッケージ形式はSlackwareから継承するtgz形式と、それを拡張したtlz形式だ。

 そのほか独自のパッケージ管理ツールとして、テキストベースのslapt-get、およびGUIベースのgslaptが用意されている。なお、Supreme Super Gameではゲームに最適な実行環境を構築するため、NVIDIAやATIのプロプライエタリなビデオドライバーも同梱される。

 次に、Supreme SuperGamerのデスクトップを示す。VectorLinuxへの移行に伴って、デスクトップ環境はKDEからより軽量のXFce 4へ変更されている。壁紙はもとより、メニューやアイコンもゲームマシンにふさわしいかなり凝ったファンタジックな仕上がりになっている。ちなみに、ログインはユーザ「supervl」(パスワードなし)で行われ、rootのパスワードは「root」に設定されている。

図1 Supreme Super Gamerのデスクトップ画面
図1 Supreme Super Gamerのデスクトップ画面

豊富なゲーム

 Supreme SuperGamerのウリはなんといっても豊富なゲームが収録されている点である。画面下部に配置されたMac OS XのDockを模したランチャーである「wbar」から主要なゲームを起動可能だ(リスト1)。

リスト1 wbarに登録されているゲーム一覧

Quake Wars
Doom 3
Prey
Unreal Tournament
Quake 4
Savage 2
Postal 2
Enemy Territory
Penumbra Black Plague
Sauerbraten
Urban Terror
Soldier Of Fortune
Torcs
Tremulous
AlienArena
True Combat
America's Army
Nexus
OpenArena
PlaneShift
Drop Team
Frets On Fire
Chromium B.S.U.
Mad Bomber
X-Moto
BZ Flag
Mega Mario
Glaxium
GL-117
NeverBall
NeverPutt
Super Tux
PlanetPenguin Racer

 PlanetPenguin RacerやMage Marioのようなオープンソースのゲームのほか、Doom 3やQuake Warsといった商用ゲームのデモ版も収録されている(図2~6)。なお、デモ版といっても、かなり本格的に遊べるものが多い。たとえば、かつて一世を風靡したSF FPSの「Doom 3」のデモ版は、オープニングムービーと最初の3レベルが収録されている。

図2 Linuxのマスコット、Tuxが雪山を滑り降りるレースゲーム「PlanetPenguin Racer」
図2 Linuxのマスコット、Tuxが雪山を滑り降りるレースゲーム「PlanetPenguin Racer」
図3 どこかで見たような髭の主人公を操るアクションゲーム「Mega Mario」
図3 どこかで見たような髭の主人公を操るアクションゲーム「Mega Mario」
図4 エイリアンと戦うFPSゲーム「AlienArena」
図4 エイリアンと戦うFPSゲーム「AlienArena」
図5 「スーパーマリオブラザーズ」風の横スクロールアクションゲーム「Super Tux」
図5 「スーパーマリオブラザーズ」風の横スクロールアクションゲーム「Super Tux」
図6 「BeatMania」や「Guitar Freaks」、「Guitar Hero」風のリズムアクションゲーム「FretsOnFire」
図6 「BeatMania」や「Guitar Freaks」、「Guitar Hero」風のリズムアクションゲーム「FretsOnFire」

ゲーム以外のアプリケーションも盛りだくさん

 もちろんゲームだけでなく、Webブラウザやメーラー、OpenOffice.orgといった定番アプリ、マルチメディア系ではMPlayerやGimpなど、一般的なアプリケーションはほぼそろっている。ただし残念ながらすべて英語版のみだ。

 なお、VectorLinuxの管理ツールに加えて、SuperGamerオリジナルの管理ツールもいくつか用意されている。中心となるのが、Xやネットワーク、キーボード設定、ユーザ管理を行う「コントロールセンター」(メインメニューの「System」-「SG Control Center」)である。

図7 SuperGamerオリジナルの管理ツール「SG Control Center」
図7 SuperGamerオリジナルの管理ツール「SG Control Center」

ハードディスクへのインストール

 メインメニューの「System」-「LiveDVD-Installer」から呼び出せるLiveDVD-Installerを使用することにより、Supreme SuperGamerをハードディスクにインストールすることも可能だ。そうすることにより、ゲームの途中経過を保存したり、そのほかのソフトウェアパッケージをインストール/アップデートすることが可能になる。

図8 SuperGamer-LiveDVD-Installer
図8 SuperGamer-LiveDVD-Installer

 なお、ブートローダには現在一般的なGRUBではなく、Liloがインストールされる。

図9 Liloのメニュー画面
図9 Liloのメニュー画面