新着メールを知らせてくれるGmail用通知アプリケーション
映画『 You’ve Got Mail (ユー・ガット・メール)』のトム・ハンクスやメグ・ライアンのようにメール漬けになっている人は、受信箱にメッセージが届いたらすぐに知りたいと思うだろう。Gmailを使っているなら、メールの新着を通知してくれるGmail専用アプリケーションをいくつか試すとよい。
KCheckGmail
まずはKCheckGmailを試してみた。KDEベースのアプリケーションで、Ubuntu、Mandriva、openSUSEなどのリポジトリに収録されている。自分の使っているディストリビューションにパッケージが見当たらない場合は、ダウンロードページを参照するか、ソースコードを入手してインストール手順に従うことになる。英語以外にも、ヨーロッパの大半の言語(ワロン語やカタルーニャ語まである)とアジアの一部の言語がサポートされている。また、その気があればその他の言語への翻訳作業に参加することもできる。
起動時には、「Login」タブにGmailアカウントのユーザ名とパスワードを入力する。KDEのWallet(KWallet)を使えば、これらの情報をセキュリティに配慮した形で保存できる。「Network」タブでは、メールチェックの間隔を設定できる。ただし、60秒未満にするとマシンに負荷がかかりすぎるおそれがあるので、そうした設定は避けること。また、セキュリティ性を高めるためにHTTPS接続を使用するように設定することも可能だ。「Behavior」タブでは、システムトレイのアイコンをクリックしたときの動作(デフォルトは、ブラウザでGmailページにアクセス)や、利用するブラウザ(KDEの現行ブラウザKonquerorがデフォルトだが、Firefoxにする人も多いだろう)を設定できる。さらに、「Advanced」タブでは、どんなメッセージを新着と見なすか(デフォルトは“in:inbox in:unread”で、受信トレイの未読メッセージが対象となる。指定の構文はGmail標準のもの)、表示モードを標準(簡易表示)と詳細のどちらにするかを設定できる。このタブには、メッセージ受信や未読メッセージなしといったイベントを音で通知するオプションも用意されている。
KCheckGmailの実行中はシステムトレイのアイコンに未読メッセージの件数が表示されるが、その数が100件を超えると表示の一部が消えて判読が難しくなる。このアイコンを右クリックしてコンテキストメニューから「Threads」を選ぶと、ポップアップ画面に未読メッセージを含む最新のスレッドが表示される (奇妙なことに、最新の未読メッセージは並べ替え順の都合で、リストの一番上ではなく一番下に表示される)。スレッド上にマウスカーソルを持ってくると、各メッセージの冒頭部と添付ファイルの有無を示すポップアップ画面が現れる。スレッドをクリックすると、新着メッセージを開いた状態でWebブラウザが立ち上がる。また、システムトレイアイコンのコンテキストメニューからメール作成画面を開くこともできる。ただし、ブラウザ側にGmailのログイン情報を記憶させていない場合は、メッセージの読み書きのたびにログイン操作が必要になる。
全体的に見て、KCheckGmailはKDEとうまく統合されている。派手さや特に洗練されたところはないが、機能的には十分といえる。
CheckGmail
GTKベースのCheckGmailは、GNOMEユーザ向けの小粒で高速なメールチェックツールだ。いくつかの言語に対応済みだが、もし新たな言語を加えたいならXMLファイルを1つ編集してプログラムの作者に送るだけでよい。CheckGmailは、Atomフィードを利用してGoogleのサーバからデータを取得するため、動作が軽い。設定によって音声の再生やノートPCのLED点灯といった面白い通知方法も使えるが、すぐに飽きるだろう。
CheckGmailのパッケージはUbuntuのリポジトリにしか用意されていないが、プログラム自体はPerlのスクリプトなのでインストールは簡単だ。最新版をダウンロードし、コンソールウィンドウで次のように実行すればよい。
tar jxf checkgmail-1.13.tar.bz2 cd checkgmail-1.13 ./checkgmail
足りないパッケージがあると警告メッセージが出るので、それらについては各自で探してインストールすること。たとえば、私のMandriva環境では「Gtk2::TrayIconとXML::Simpleが見つからない」というメッセージが表示され、perl-Gtk2-trayiconとperl-XML-simpleをインストールする必要があったが、そのあとは万事うまくいった。ただし、CheckGmailによって表示される不足パッケージの名前は、ディストリビューションのパッケージ名とは必ずしも一致しない (CPANからのインストールという別の方法をとれば、パッケージ名前は一致する)。また、2度目のインストール中には、暗号化およびデータ圧縮のパッケージを取得するように勧められた。私の環境ではインストール済みだったが、これらのパッケージのインストールは省略可能だ。
CheckGmailを初めて実行すると、Gmailのユーザ名とパスワードを尋ねられる。続くセットアップ作業では、トレイアイコンのクリック時に実行するコマンド(推奨はFirefoxの起動)、メールの受信または新着メールなしの場合に実行するコマンド、メールチェックの頻度、“新着メールあり”ポップアップの表示時間、使用するアイコンや表示する背景の詳細を設定できる。接続がうまくいかず“401:unauthorized”メッセージが出る場合は、コンソールを開いて「./checkgmail -update
」を実行し、画面上の指示に従って最新のパッチを当てる。私の環境では、このエラーメッセージがポップアップされ続け、そのたびに「-update
」オプションを実行しなければならなかった。2回目以降の実行では、ユーザ名とパスワードだけを入力すればよいはずだ。
CheckGmailのシステムトレイアイコンの上にマウスカーソルを置くと、すべての新着メッセージについて、件名、送信者、冒頭部などを含む情報と共に、開く、既読、アーカイブ、迷惑メールを報告、削除といった操作を行うためのクリック可能なリンクが表示される。すべての新着メッセージを既読にするオプションもある。また、システムトレイアイコンを右クリックすれば、直近の操作の取り消し、メールの作成、設定の変更が行える。
GNOMEとの連携性に優れたCheckGmailだが、KDEとの統合は十分とはいえない。たとえば、システムトレイアイコンに透明色の背景が使えなかったり、KDEのWalletを使うには専用の追加パッケージが必要だったりする。とはいえ、用意されているオプションはKCheckGmailよりも多い。前述の401エラーの問題は残念だが、ブラウザを開かなくても直接メッセージを処理できる点はすばらしい。
gmail-notify
Google自身は独自のプログラムとしてGmail Notifierを提供しているが、これはWindowsでしか使えない。ところが、Googleとは無関係に、Linux上で同じ働きをするgmail-notifyというGTKベースのPythonスクリプトが存在する。
インストールは簡単だ。コンパイルや特別な手順は必要なく、最新版をダウンロードして次のように実行するだけでよい。
tar zxf gmail-notify-1.6.1.1.tar.gz cd gmail-notify ./notifier.py
このスクリプトを初めて起動すると、ブラウザで使用するGmailのユーザ名とパスワード、メールのチェック間隔(ミリ秒単位)、ポップアップ位置に関するいくつかのパラメータの入力を求められる。これらの設定値は、ホームディレクトリ内の「.notifier.conf」というファイルに保存される。新しいメッセージが届くたびに、その詳細を示すポップアップが表示される。ほかにもいくつかの機能があり、システムトレイアイコンをクリックすると、「Check now」(今すぐチェック)、「Go to inbox」(受信トレイを開く)、「Configure」(設定)、「Exit」(終了)といったオプションが現れる。
gmail-notifyは、ここで紹介するGmailチェッカーとしては最も単純な作りで、通知の手段は基本的な“you’ve got mail”メッセージしかない。これに満足できないなら、ほかのプログラムをあたったほうがよい。
Mail Notification
Mail Notificationは、Gmail以外のアカウントでも使えるという点で、より汎用性の高いメールチェック方法だ。GNOME向けに作られているが、KDEやXfceでも使える。ただし、インストールはほかのプログラムほど簡単ではなく、ソースのパッケージをダウンロードしたうえで次のコマンドを実行する必要がある。
tar jxf mail-notification-5.4.tar.bz2 cd mail-notification-5.4 .jb configure ./jb build sudo ./jb install
また、多数の開発ライブラリをインストールする心構えをしておくこと。私の場合は、毎回パッケージを追加しながら5回目の試みでやっとインストールが完了した。それに、Mail Notificationには大きな制約がある。GMime、GetLive、FetchYahoo、OpenSSLといったオプションのライブラリおよびパッケージがなければ、POP3サーバにアクセスできないのだ。詳細については、付属のREADMEファイルを参照してほしい。これらパッケージなしにMail Notificationをインストールすると、接続先がGmailアカウントに限定される。こうした追加のパッケージをあとでインストールした場合は、「configure/build/install」の手順をやり直さないといけない。
ビルドとインストールを済ませたら、「mail-notification
」を実行してプログラムを起動する。ほかのプログラムと同様、初回の実行時にはメールアカウントの情報や通知の方法などを指定する必要がある。具体的には、「Add」をクリックしてメールボックスを追加し、その種類を「Gmail」にして、ユーザ名とパスワードを入力する。「詳細」タブでは、メールチェックを行う間隔(デフォルト値は5分)を設定できる。
「mail-notification」の実行中は、システムトレイアイコンに新着メッセージの件数が表示される。その上にマウスカーソルを重ねると、メールボックス(先に述べたように、複数のアカウントに対応可能)、送信者、件名、受信時刻など、新着メッセージの情報が確認できる。さらにこのアイコンを右クリックすると、Gmailを開く(私の環境では、パッケージが足りないためか動作しなかった)、最新メールを読む(やはりGmail画面が開く)、既読にする、最新の状態に更新する、設定を変更するといったオプションが現れる。
Mail Notificationは、ほかのツールより汎用性が高く、複数のメールアカウントにアクセスできるが、機能はほぼ基本的なものばかりだ。また、比較的複雑なインストール手順のせいで敬遠するユーザも多いだろう。
まとめ
機能の豊富さを求めるなら、CheckGmailを選べばよい。KCheckGmailは、KDEとうまく統合されているが、オプションの多様性でCheckGmailに劣る。ほかの2つはさらに機能が少ない。その1つ、Mail Notificationは、種類の異なるいくつかのアカウントにアクセスできるという強みを持ちながらも、必要以上に難しいインストール手順が弱点になっている。
Federico Kerekiはウルグアイ在住のシステムエンジニア。20年以上にわたり、システムの開発、コンサルティング活動、大学での教育指導を続けている。