“公共の利益”に貢献するフリーソフトウェアに賞金10,000ドルを提供するプロジェクト

 “公共の利益”に貢献するソフトウェアに対して賞金を出すというAntonio Pizzigati Prizeの応募受付が開始された。この入選者となる候補には、あなた自身の尊敬するプログラマあるいはその作品を推薦することもできるのだが、応募締め切りは9月30日とされているので、誰を推薦すべきかを考えている猶予はそれほど残されていないことになる。

 今回Linux.comは、電子メールを介したものではあるが、Pizzigati Prizeの基金管理を担当するTides FoundationのNicole Puller氏との間で簡単なインタビューをすることができた。以下に掲載するのは、インタビューの内容に若干の整理を加えたものである。

Linux.com:このコンテストの基金はどのような由来となっているのでしょうか。

Nicole:そもそもPizzigati Prizeは、基金名にその名を残すAntonio Pizzigati氏の記憶を永久に留めるために同氏の御遺族が設立したものです。コンピュータの才に恵まれていたAntonio Pizzigati氏は、10歳の頃からプログラミングに勤しむようになっており、14歳になるとCISPESの事務局にてサポート活動をするようになっていました。MITの卒業後はシリコンバレーにてソフトウェアコンサルタントとして活動されていたのですが、通勤途中に交通事故により命を落とされてしまったのです。そこで残された遺族の方々が、コンピューティング活動に関して同氏が抱いていた志を受け継いでくれる人々を支援するために設けたのがこの基金となっています。

Linux.com:同プロジェクトの活動内容を見ると、過去2年間はいわゆる“エンドユーザ”用のソフトウェアを対象としていたよう見受けられます。そうなると例えば、現在大半のネットブート(クライアント/サーバ)型コンピューティングネットワークにおける“中枢”として使われているgPXEなどのプログラムはどうなるのでしょうか? こうしたバックエンドで動作するプログラム群およびそれらの開発者たちにもチャンスはあるのでしょうか?

Nicole:その通りです。応募さえして頂ければ誰でも審査および受賞の対象者となります。基本的なガイドラインはWebサイトに掲載してありますが、それ以外の制限事項は設けられていません。

Linux.com:すると例えば、あなた御自身が自分のソフトウェアをノミネートするということもあり得るのでしょうか?

Nicole:そうですね、自分で作成したプログラムを自薦形式で応募しても問題はありません。ただし応募プロセスの一環として、他人からの推薦状を提出するという規則も設けてあります。つまり仮に自薦形式で応募したとしても、結局は他薦される場合と同様な推薦状が別途必要になる訳です。

Linux.com:最終選考に残り受賞者となる上で、一般票というのはどの程度のウェイトを占めることになるのでしょうか?

Nicole:一般票の受付は、すべての応募者が出そろった後でforums.pizzigatiprize.orgにて行います。ただし一般票とは言っても、それほど世間に知られている投票システムという訳ではないので、多大なウェイトがかけられる訳ではありません。現行の方式では、諮問委員会が受賞者を選ぶことになっています。委員会を構成するメンバには、公共の利益に貢献するコンピューティング分野での広範な活動経験を有す、Allison Fine氏、Joseph Mouzon氏、Katrin Verclas氏という方々が名を連ねています。その他にはNick Pizzigati氏が職権上の会員としてパネルに参加されており、これはTides FoundationにおけるFlorence and Frances Family Fundの代表という立場です。また過去の受賞者もパネルとして参加されておりますので、よろしければその紹介文をご参照ください。

昨年の受賞者であるBarry Warsaw氏は、MailmanというGNUメーリングリストマネージャの作成者です。昨年およびその前年(最初の実施年)において最終選考にまで残った方々についての記録は今でも残されておりますので、どのような種類のプログラムが選出されたのかはこれで確認できますし、ある程度は選出理由についての見当も付けることができるでしょう。

Linux.com 原文