見た目以上の実力を持つ簡易MySQLエディター、phpMinAdmin

 MySQLデータベースを使ったり操作したりしたことがあるならphpMyAdminを利用したことがあるだろう。そう思えるほど、Webインタフェースを備えたデータベース管理ツールphpMyAdminは広く使われている。しかし、少々重装備だ、もう少し軽いものはないだろうかと考えている人もいるだろう。 phpMinAdmin は、そんな人にお誂え向きのツールだ。phpMyAdminに比べてインストールが簡単で、わかりやすいグラフィカル・ユーザー・インタフェースを備えており、MySQLの重要な機能をほとんどカバーしている。

 多くのWebホスティング・ソリューションには、ブログ管理ソフトウェアやコンテンツ管理システムで使うデータベースの作成用にphpMyAdminが同梱されている。しかし、そうした目的がないなら、phpMyAdminをインストールするよりphpMinAdminをインストールする方が簡単だ。phpMinAdminは1つのPHPスクリプトから成り、設定の必要がない。スクリプトをWebサーバーのrootディレクトリーにアップロードし、データベースへの接続に必要な情報を入力してログインするだけ。また、MySQLのGUIが必要なローカル・データベース・プロジェクトでphpMyAdminをインストールする時間がない場合にも理想的なツールだ。

 スクリプトをアップロードし、データベースへの接続に必要な情報(ホスト、データベース管理者のユーザー名とパスワード)を入力すると、phpMinAdminの簡素なメイン・ページが開く。初めて見たとき、筆者はその簡素振りに驚いた。特に、phpMyAdminの初期ページに比べるとその簡素さが際だつ。しかし、よく見ると、このメイン・ページからかなりのことが実行できることがわかる。右ペインではデータベースを新規作成したりユーザー特権を編集したり稼働状況を見たりすることができ、左ペインでは照会や編集を行うデータベースの選択やバックアップができる。

 phpMinAdminの最も優れている点は、すべてのインタフェースが簡素化されているのに機能を落としていないことだ。データベースの作成やテーブルの追加などの作業では、作業の進行につれてオプションや機能が追加されていく。

 メイン・インタフェースでドロップダウン・リストにあるデータベースを選択すると画面が更新され、そのデータベースにあるテーブルの一覧が左ペインに表示される。右ペインには、そのデータベースの変更、簡易なデータベース・スキーマの準備、データベース・ビューの作成と保存プロシージャーと関数の作成を行うリンクが現れる。

 ブログやWebソフトウェアを管理する場合、phpMinAdminを使って行う作業はデータベースの作成と削除ぐらいだろう。Webソフトウェアを更新したり変更したりするときは、データベースのバックアップとリストアも必要だが、phpMinAdminでは、そうした作業も比較的容易に行うことができる。

 データベースを作成するときは、メイン・ページのCreate new databaseリンクをクリックする。作成するデータベースの名前の入力欄とコレーション・スキームを選択するドロップダウン・リストから成る簡単なフォームが開く。コレーションはテキスト・フィールドのデータを格納する際に使われる文字セットのことで、MySQLの国際化作業で対象となっているものの一つだ。コレーションを選択しないと、MySQLのデフォルトのコレーションであるlatin1_swedish_ciが使われる。英文であればこれで十分だ。

 WordPressなどのWebアプリケーションで使うデータベースを作る場合、テーブルを作る必要はない。そのアプリケーションのインストーラーが自動的に作ってくれるからだ。しかし、自分のデータベース・プロジェクトの場合は、テーブルも自分で作ることになる。メイン・インタフェースでデータベースを選択しCreate new tableリンクをクリックする。一般のリレーショナル・データベースと同じように、MySQLのテーブルも一意名とタイプと長さを持つ列から成る。タイプとそれぞれのオプションは、MySQLで可能なものがドロップダウン・リストに一覧されるので設定は簡単。また、主キー、外部キー、トリガーを定義するのも容易だ。

 さらに強調したい利点は、テーブルの構造、キー、トリガーの変更が作成と同じくらい容易だということ。実際、メイン・インタフェースのプルダウン・リストからデータベースを選択し、Alter databaseリンクをクリックすると、データベースの名前とコレーションを変更できるのだ。そのページにあるDropボタンをクリックすれば、テーブルを含むデータベース全体を削除することもできる。

 データベースでは、テーブルのデータを抜き出す作業も多い。たとえば、WordPressサイト上のスパム・コメントを処理する場合、WordPressに組み込まれているコメント削除システム(あるいは、データベースを使うブログ・ソフトウェアの同種機能)を使うより、データベースを直接照会し選択されたものを削除する方が簡単だ。こうした作業でも、phpMinAdminは大活躍する。WordPressデータベースのコメント・テーブルにあるスパムを抜き出すときは、次のようにする。まず、wp_commentsテーブルの左にあるselectリンクをクリックする。開いたページには、関連する属性とキーワードと句がドロップダウン・リストに一覧になっており、それを選ぶことでSELECT SQL文を容易に作ることができる。

 そして、照会の結果戻ってきたレコードをeditリンクで一つずつ編集する。レコードのすべてまたは一部を選択して削除したり、Truncate tableボタンでテーブルを一気に空にしたりすることもできる。

 削除したテーブルを戻すことはできないため、削除の前にテーブルをバックアップしておくとよい。実際、バックアップは一般にディスク・エラーなど防ぎようのない状況でデータベースが壊れたときの最後の砦だ。現行のphpMinAdminでは、1つのテーブル、データベース全体、ホスト上の全データベースをインポートするためのSQL文を作ることができる。メイン・インタフェースのプルダウン・メニューでデータベースを選択しDumpリンクをクリックすると、そのデータベースをリストアするための一連のSQL文が表示される。このSQL文とphpMyAdminなどのツールを使ってデータベースをリストアすることができるのだ。もちろん、そのSQL文を直接MySQLに与えることでリストアすることもできる。

 phpMinAdminでデータベースをインポートする場合は、その一連のSQL文を1つずつ貼り付けるか、それらを含むファイルをアップロードしなければならない。SQL文を貼り付けるテキスト・ボックスは、メイン・インタフェースのSQL commandリンクをクリックすると現れる。

 phpMinAdminの開発者Jakub Vrnaによると、現在、インポートとエクスポートの改良作業中で、新版ではテーブルとデータ・タイプを指定し好みのフォーマットでエクスポートできるようになるという。リリースの目標は9月始めだ。また、2台のマシン上にあるデータベースを簡単に同期させる機能も開発中だが、PostgreSQL版は考えていないそうだ。

 phpMinAdminは広範なデータベース・プロジェクトで採用できるよくできた軽量アプリケーションだ。可能な作業の多さではphpMyAdminにかなわないが、MySQLデータベースでよく使われる操作の多くに対応しており、ほとんどのデータベース・プロジェクトで十分に活用できるだろう。実用的なインストール手順と使いやすいインタフェースのお陰で、ブログなどのCMSを維持管理するなど、必要なデータベース操作が限られている場合であれば、データベースの初心者にも使えるツールになっている。

Linux.com 原文